【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英・蘭 戦闘機調達を支援する「国際的な連合」構築へ

イギリスのスナク首相とオランダのルッテ首相は16日、アイスランドで開かれたヨーロッパ評議会の会合にあわせて会談し、ウクライナへの戦闘機の調達などを支援する「国際的な連合」の構築に向けて取り組むことで合意しました。

イギリスの首相官邸によりますとこの枠組みではパイロットの訓練からウクライナ側が求めているF16戦闘機の調達まで幅広く支援するということです。オランダはF16戦闘機を保有する国の一つです。

また、イギリスやフランスはウクライナ軍のパイロットの訓練を実施する方針を示しています。さらにウクライナのイエルマク大統領府長官はSNSで、F16を保有するベルギーもパイロットの訓練に前向きな姿勢だと明らかにしました。

こうした中、ウクライナのクレバ外相は16日、現地の公共放送のインタビューで「この連合に関連し、西側の戦闘機を供与する準備ができそうだという国がある」と述べ、F16などを念頭にした新たな戦闘機の供与の可能性を示唆しました。

一方、アメリカはパイロットの訓練に時間を要することなどから供与に応じておらず、性能の高い戦闘機の供与が実現できるかが焦点です。

ウクライナ国防省 ロシア軍の兵士など死者 推計20万人超と主張

ウクライナ国防省は17日、軍事侵攻が始まってからロシア軍の兵士などの死者が推計で20万人を超えたと主張しました。

ロシア軍の死者数については、去年9月、ロシアのショイグ国防相が5937人と明らかにして以降、死者数全体に関する発表はなく、正確な実態は分かっていません。

アメリカのシンクタンク、CSIS=戦略国際問題研究所は、軍事侵攻が始まってから1年となったことし2月、ロシア軍の兵士や戦闘員の死者数は6万人から7万人で、死傷者数が20万人から25万人だという分析を示しています。

ロシア側は、ウクライナ東部ドネツク州のバフムトの掌握をねらい、ロシア軍の兵士だけでなく民間軍事会社ワグネルの戦闘員を投入してきましたが、多くの死傷者が出ていると指摘され、国防省とワグネルとの間の深刻な確執も表面化しています。

英国防省 “ぜい弱なキンジャールにロシアは驚き困惑か”

戦況を分析するイギリス国防省は17日、「ロシアとウクライナの国境周辺で空の戦闘が激化している。ウクライナは今月3日、キンジャールの迎撃に初めて成功した。その後、ロシア軍はウクライナの防空能力を無力化しようとしたが、さらに数発のキンジャールを失った可能性が高い」と指摘しました。

そして、「プーチン大統領はキンジャールを『無敵だ』と誇示してきたが、これがぜい弱だったことはロシアにとって驚きであり、困惑しているだろう」という見方を示しています。

ウクライナ東部バフムト 依然激しい攻防

ウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐり、ウクライナ陸軍のシルスキー司令官は、ロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員を「わなにはまったネズミのようだ」と表現したうえで、防衛作戦を続けながらも反撃に転じていくと部隊を鼓舞しました。

ウクライナのマリャル国防次官も16日、SNSでバフムトの北と南の郊外で一部を奪還したと強調しながら「同時に敵は大砲で街を破壊し、正規軍の空てい部隊も投入している」と書き込み、依然として激しい攻防が続いていることを明らかにしました。

アフリカ諸国からロシアとウクライナに代表団派遣へ

南アフリカのラマポーザ大統領は16日、和平の実現に向けて、アフリカ諸国からロシアとウクライナの双方に代表団を派遣すると発表しました。

これはラマポーザ大統領が、南アフリカを訪れているシンガポールのリー・シェンロン首相との共同会見の場で述べたものです。

このなかでラマポーザ大統領は、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と相次いで電話会談をし、双方から代表団の派遣について合意を取り付けたとしています。

代表団の派遣には、セネガルやエジプトなど5か国の指導者も賛同しているということです。

南アフリカは、ロシアによる軍事侵攻を明確に非難せず、ことし2月には合同で軍事演習を行うなどロシア寄りだとの批判も受けています。

また、ウクライナ側は、ロシア軍が領土内から完全に撤退しないかぎり、停戦はありえないとの立場を崩しておらず、現時点で代表団の派遣で実効性のある和平案を示せるかは不透明です。

ロシア国防相 ウクライナ側の迎撃発表を否定

ロシアのショイグ国防相は16日、国営のロシア通信に対し「彼らが声明で撃ち落としたとされるほどの『キンジャール』を発射していない。ウクライナが主張する迎撃の数はわれわれが発射する数より3倍多い」と述べ、ウクライナ側が「キンジャール」6発を迎撃したとの発表を否定しました。

ゼレンスキー大統領 「パトリオット」など兵器供与各国に感謝

ゼレンスキー大統領も16日、18発すべてを迎撃したとしたうえで、「適切な防空システムでわが国を助けてくれている」と述べ、地対空ミサイルシステム、「パトリオット」をはじめとする兵器を供与した各国に感謝の意を示しました。

そして、欧米から兵器の供与を受け防空能力が向上していることを誇示し、「各国とともに、テロ行為に対する防衛を可能なかぎり強化していく」と述べ、徹底抗戦する姿勢を改めて強調しました。

ウクライナ国防相 “ロシアのミサイルすべて迎撃” 対抗に自信

ウクライナでは16日、首都キーウなど各地で、ロシア軍が集中的にミサイル攻撃を行いました。

これについて、ウクライナ軍の参謀本部は、発射された18発のミサイルはすべて迎撃したと発表し、ロシア側が極超音速ミサイルだとする「キンジャール」6発も含まれていたとしています。

ウクライナのレズニコフ国防相はSNSに「再び、信じられない成功を収めた」と投稿し、欧米から供与される兵器で対抗できると自信を示しました。
ウクライナ空軍は当初、「キンジャール」の迎撃は極めて困難だとしていましたが、その後、初めて撃墜したと今月6日に発表していて、レズニコフ国防相は、ウクライナ側の防空能力の向上もアピールした形です。

ロシア国防省は「キンジャールがパトリオットに命中」と主張

ロシア国防省は16日、「キンジャール」がキーウに配備された地対空ミサイルシステム「パトリオット」に命中したと発表しましたが、ウクライナ空軍の報道官は「コメントすることもない。放っておく」と地元メディアに述べています。