大手金融グループ3社 昨年度決算 増益か前年度同水準に

大手金融グループ3社の昨年度の決算は、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴い国内外で資金需要が高まったことなどから最終的な利益が三井住友とみずほで増益となり、三菱UFJも過去最高だった前の年度とほぼ同じ水準となりました。

発表によりますと大手金融グループの昨年度の最終的な利益は、三井住友フィナンシャルグループが8058億円と前の年度より14%増え、みずほフィナンシャルグループは5555億円と4.7%増加しました。

また、三菱UFJフィナンシャル・グループは、前の年度より1.3%少ない1兆1164億円で過去最高だった前年度とほぼ同じ水準でした。

大手金融グループの決算が堅調だったのは、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴って国内外で資金需要が高まり、金利収入などが増えたほか、アメリカの金利の上昇で現地での貸し出しの利ざやが改善したためです。

3社は、今年度の業績予想について、いずれも最終的な利益がさらに増えると見込んでいますが、15日記者会見した各社のトップは、欧米でくすぶる金融不安や海外経済の減速懸念などのリスク要因が業績に及ぼす影響に警戒感を示しました。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は「国内景気はインバウンドなどで緩やかな回復を見込むが、欧米の金融不安はまだ霧が晴れていない。海外の金融引き締めや粘着的なインフレが実体経済に与える影響も極めて不透明だ」と述べました。

米の銀行破綻 日本への影響は

アメリカで銀行破綻が相次いだことが日本の金融機関のビジネスに及ぼす影響について大手金融グループ3社のトップからは、アメリカの銀行経営への懸念が収まるかどうかや今回表面化したリスクへの対応などを慎重に見極める必要があるという発言が相次ぎました。

このうち、三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は「当面の騒動は鎮静化しつつあり、われわれに対する影響は極めて限定的だ。今後、マクロ経済にどのように影響するか、海外のスタートアップ融資に影響を与えるか、さらなる危機につながる可能性がないかどうかは、引き続き慎重に見極める必要がある」と述べました。

また、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は「これで終わったかといえば、私は非常に慎重に見ている。いったん収束したようにも見えるが、アメリカの中堅銀行の破綻はこれからも続くかもしれず、地方銀行の問題はたぶん氷山の一角だ。この1年でアメリカの金利は急速に上昇し、さまざまなひずみが生じているはずだ」と述べました。

今回の一連のアメリカの銀行破綻では、SNSを通じて情報が拡散し、預金が瞬時に流出するなどデジタル時代の新たなリスクも表面化しました。

これについて、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は「SNSの広がりでスピードが速い点はこれまでと違う。今後、金融の規制や監督についてさまざまな議論があると思うが、そうしたリスクはよく確認する必要がある」と述べました。