ゼレンスキー大統領と英スナク首相が会談 新たな兵器供与へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、イギリスでスナク首相と会談しました。
スナク首相は飛行距離が200キロを超える無人機など、新たな兵器の供与を発表する予定で、ウクライナへの軍事支援を一層強化することにしています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、SNSで「きょうはロンドンだ。ウクライナ軍の地上と空の能力拡大でイギリスはリーダー的な存在だ。この協力関係は続く」と投稿し、イギリスでスナク首相と会談しました。

ゼレンスキー大統領がG7広島サミットに出席する首脳に会うのはイタリア、ドイツ、フランスに続いて4人目でサミット前に改めて協力を確認するねらいもあるとみられます。

イギリスのスナク首相は15日、SNSにゼレンスキー大統領と抱擁している姿の写真を投稿しました。

イギリス首相官邸は声明を出し、スナク首相が数百発の防空ミサイルや飛行距離が200キロを超える攻撃用の無人機、数百機を含むウクライナへの新たな兵器の供与を発表するとしています。

また、ウクライナが求めているF16戦闘機の供与に向けて、この夏からウクライナ軍のパイロットの訓練を始めるとしています。

イギリスは今月11日に、射程が250キロ以上と、これまでに欧米が供与を表明した中で最も射程の長い巡航ミサイルを供与したと明らかにしていて、今回の訪問を通じウクライナへの軍事支援を一層強化することにしています。

ロシア報道官「英は主導的な地位を担おうとしている」

イギリスがウクライナへの軍事支援を一層強化することに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日「われわれの姿勢は極めて否定的だ。イギリスはウクライナへの兵器の供与を続ける国々の中で主導的な地位を担おうとしている」と述べ、強く反発しました。

イギリスは今月、射程が250キロ以上と長い高精度の巡航ミサイル「ストームシャドー」のウクライナへの供与を表明し、ロシア側はウクライナ東部ルハンシク州の親ロシア派側が支配する都市で、このミサイルが攻撃に使用されたと非難していて、イギリスの軍事支援への警戒を一段と強めています。

ゼレンスキー大統領「反転攻勢もうすぐ準備ができる」

両首脳は、ロンドン郊外にある首相の公式の別荘「チェッカーズ」で2時間余り会談したあと、記者団の取材に応じました。

この中でウクライナのゼレンスキー大統領はロシアに対する反転攻勢について聞かれ「われわれにはもう少しだけ時間が必要だ。もうすぐ準備ができる。友人たちに隠す秘密はないが『隣人』への秘密はある」と述べ、ロシアを念頭に、詳細は明らかにできないとしました。

さらに、かねてより各国に呼びかけている戦闘機の供与について「制空権のないウクライナにとって、非常に重要なことだ」としたうえで「『戦闘機連合』を作りたい。近く、とても重要な決断があると思うが、もう少し調整が必要だ」と述べました。

これに対しイギリスのスナク首相は「イギリスはウクライナとその人々を守るため、断固とした対応をとり続ける。ロシアは、われわれが長期的な支援を続けると理解するべきだ」と述べました。

また、戦闘機の供与については「イギリスはウクライナを支援する国々の連合の中で、重要な役割を果たしていく」としたうえで「ウクライナの戦闘機の運用能力を高めるのは容易なことではない」と述べ、パイロットの訓練などを早期に始めたい考えを示しました。

ただ、イギリスの首相官邸はNHKの取材に対し、現在、戦闘機そのものをウクライナに供与する計画はないとしています。