鹿児島県 十島村で震度5弱の地震 津波の心配なし

13日午後、鹿児島県のトカラ列島近海で地震があり、十島村で震度5弱の揺れを観測しました。

この地震による津波はありませんでした。

トカラ列島近海ではその後も地震が相次いでいて、気象庁は当分の間は同じ程度の揺れを伴う地震に注意を呼びかけています。

気象庁によりますと、13日午後4時10分ごろ、トカラ列島近海の深さ12キロを震源とするマグニチュード5.1の地震が発生しました。

この地震で震度5弱の揺れを十島村の中之島で観測しました。

また、
▽震度4を十島村の口之島、
▽震度3を屋久島町の口永良部島で観測したほか、
▽震度2や震度1の揺れを鹿児島県の広い範囲で観測しました。

この地震による津波はありませんでした。

トカラ列島近海ではその後も地震が相次いでいて、午後4時14分ごろに十島村で震度3の揺れを観測するなど、午後6時までに震度1以上の地震を13回観測しています。

また、今回の震源付近は時々、ややまとまった地震活動が見られる場所だということです。気象庁は、当分の間、震度5弱程度の揺れを伴う地震のおそれがあるとして注意を呼びかけています。

震度5弱の十島村 今のところ被害情報なし 警察

震度5弱の揺れを観測した鹿児島県十島村を管轄する鹿児島中央警察署によりますと、13日午後5時時点で被害の情報は入っていないということです。

引き続き、現地で駐在する警察官と情報収集にあたるということです。

十島村 災害警戒本部立ち上げ 今のところ被害情報なし

鹿児島市内にある十島村役場では、地震の発生を受けて災害警戒本部を立ち上げました。

各島に電話で連絡を取るなどして、情報収集を進めています。


十島村役場の担当者によりますと午後5時半の時点で、被害の情報は入っておらず、避難所の開設もないということです。

十島村の肥後正司村長は、地震が起きた時、鹿児島県の塩田知事が行う地域住民とのふれあい対話に立ち会うため中之島から50キロほど離れた悪石島にいて、職員に対して被害状況の確認をするように指示を出したということです。

鹿児島県も災害警戒本部を設置

鹿児島県は午後4時10分、十島村で震度5弱の地震が発生したことを受けて県庁内に災害警戒本部を設置したと発表しました。

県によりますと、午後6時の時点では被害の情報は入っていないということです。

塩田知事は、地域住民とのふれあい対話のため中之島から50キロほど離れた悪石島にいて現地から指示を出しているということです。

震度5弱 十島村の中之島とは

鹿児島県十島村の中之島は鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に位置するトカラ列島の島の1つです。

島の面積は34.42平方キロメートル、島の人口は今月11日現在で133人で、面積、人口ともにトカラ列島最大となっています。

また、島内には中之島小中学校があり、学校によりますと児童と生徒合わせて14人が在籍しています。

震度5弱の中之島 住民は

鹿児島県十島村にある中之島診療所の看護師は「自宅にいましたが地鳴りのような音がなったあと横揺れが続きました。物が落ちたりしてはおらず、電線などは揺れていなかった」と話していました。

中之島で暮らす60代の男性は「ドンッと横揺れが5秒から6秒ぐらい続きました。物が倒れたり、けがをしたりすることはありませんでした」と話していました。

中之島に住む羽生慎さんは「私は自宅で横になっていましたが、下から突き上げるドンという揺れが5秒ぐらい続きました。家の物が落ちるといったことはありませんでした」と話していました。

さらに、「おとといも震度4があって揺れたので、外に出て近所の人と『大丈夫?』と確認しあいました。ほかの人も落ち着いた様子でした」と話していました。

そのうえで、地震が相次いでいることについて「この地域ではこの前も地震がありましたし、全国的に地震が相次いでいるので怖いです」と話していました。

中之島で商店を経営している土岐裕美さんはレジで接客中に地震が発生したということです。土岐さんは「20秒くらい横揺れが続き机をつかみました。お客さんと揺れが長いねと話しました。軽いお菓子がたなから落ちましたが揺れのわりにはそこまで被害はなかったです」と話していました。

土岐さんは震度7の揺れが2度観測された7年前の熊本地震を経験したことがあるということで、「短期間に大きな地震があり思い出して怖くなりましたがこれからは地震がないことを祈っています」と話していました。

中之島 小中学校の教頭「部活動の子どもたち校庭に避難」

鹿児島県十島村にある中之島小中学校の児玉徹教頭によりますと「私は職員室にいましたがけっこう揺れました。横揺れが10秒くらいから20秒くらい続きました。物が落ちるようなことはなかったが、部活動の子どもたちが体育館にいたので校庭に避難させたところです」と話していました。

中之島駐在所 駐在員の妻「ドンと突き上げ横揺れが10秒」

震度5弱の揺れを観測した鹿児島県十島村の中之島にある中之島駐在所の駐在員の妻、大野ゆかりさんは「駐在所に併設する自宅にいましたが、ドンと突き上げるような揺れのあとに横揺れが10秒ほど続きました。外に出ると周辺の住民も逃げていてお互いに安全を確認しました。棚から物などが落ちる被害もなく、駐在所にも今のところ、けが人などの情報も入っていないです」と話していました。中之島駐在所では地域をまわって、情報を収集しているということです。

中之島の旅館「揺れは一瞬」

震度5弱の揺れを観測した鹿児島県十島村の中之島にある旅館によりますと「揺れは一瞬でした。夕食の準備中で火を使っていましたが急いで消してしばらく様子を見ていました。落ち着いたので今は夕食づくりを再開しています」と話していました。

政府 情報連絡室を設置

今回の地震を受けて政府は午後4時13分、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し被害の確認などにあたっています。

トカラ列島近海の地震活動

気象庁によりますと、トカラ列島近海では今月に入って地震が相次いでいて震度1以上の揺れを伴う地震は今回の震度5弱を観測した地震の前に、13回観測されていました。

このうち11日には震度4の揺れを1回、震度2の揺れを2回、いずれも鹿児島県の十島村で観測しました。

トカラ列島近海はこれまでも繰り返し地震活動が活発化しています。2000年10月には、マグニチュード5.9の地震が起きて十島村の悪石島で震度5強の揺れを観測するなど、強い揺れを伴う地震が相次ぎ、悪石島では、水道管や建物の壁が破損するなどの被害もありました。

また、おととしもトカラ列島近海で地震が相次ぎ、12月にはマグニチュード6.1の地震が起きて悪石島で震度5強の揺れを観測しました。

今後の地震活動に注意が必要です。

鹿児島県で震度5弱以上の揺れは2021年以来

気象庁によりますと鹿児島県で震度5弱以上の揺れを観測したのは、2021年12月9日にトカラ列島近海で発生したマグニチュード6.1の地震以来です。

このときは▽震度5強を十島村の悪石島で観測したほか、▽震度4を小宝島で、▽震度3を諏訪之瀬島と奄美市で観測しました。

専門家「今後1週間程度は同程度の揺れに注意」

東京大学地震研究所の佐竹健治教授は「鹿児島県の十島村近海はマグニチュード5や6クラスの地震がたびたび発生している地震活動が活発な場所で、一連の活動と考えられる」と指摘しました。

その上で「一度大きな地震が起きると活動が活発になるおそれがある。揺れが強かった地域では今後1週間程度は同程度の揺れが起きるおそれがあり、引き続き注意してほしい。崖など崩れるおそれがある場所には近づかないようにしてほしい」と話しています。