線状降水帯の情報 30分早く どう変わる?どうすれば?【Q&A】

ことしも大雨の季節が近づいてきました。
発達した積乱雲が帯状に連なり、大雨をもたらす「線状降水帯」が発生した際に発表される情報について、気象庁は最大で30分早めると発表しました。
そもそもどんな情報なの?
情報が出たらどうしたらいいの?
梅雨を前に知っておきたいことをQ&A方式でまとめました。

Q. 線状降水帯発生を知らせる情報って?

A. 発達した積乱雲が連なり「線状降水帯」が発生すると、非常に激しい雨が同じ場所に降り続くため、土砂災害や洪水などが発生する危険性が急激に高まります。

気象庁は2021年から「線状降水帯」の発生が確認された際に『顕著な大雨に関する情報』を発表して安全の確保を呼びかけています。

発表基準は以下の通りです。

▽3時間の解析雨量が100ミリ以上になっている範囲が500平方キロメートル以上あり
▽その領域が「線状」
▽領域の直近の3時間雨量の最大値が150ミリ以上、など。

線状降水帯は2020年の7月豪雨や2018年の西日本豪雨など、大規模な被害となったこれまでの豪雨災害で繰り返し確認されています。

事前の予報を上回って、短い時間で状況が悪化する危険性があるんです。

Q. 発表が30分早くなるってどういうこと?

A. 『顕著な大雨に関する情報』の発表基準は変わりませんが、線状降水帯の発生が「確認」されたケースだけでなく30分先までに「発生すると予測された場合」についても発表することになります。

運用の変更は今月25日午後1時です。

いったい、どうしてなのか気象庁に問うと「大雨の危機感を少しでも早く伝えるため」と説明しています。

「『顕著な大雨に関する情報』は、災害の危険度が急激に高くなっていることを知らせる重要な情報で、それをより早く伝えるためだ(気象リスク対策課 橋本徹 地域気象防災推進官)」ということです。

また、合わせて「線状降水帯の定義」も変更します。

これまでは、情報の発表基準を超えたことをもって線状降水帯による大雨となっている、としていましたが、今後は基準を超えると予測された段階で「線状降水帯が発生した」とするとしています。

これについて、気象庁は「過去の事例の検証などから大雨になる確率が非常に高く、実況とも非常に近い時間帯でもある。総合的に判断して『線状降水帯と見なす』と整理した」と説明しています。

Q. 「半日前予測」の情報との違いは?

A. 『顕著な大雨の情報出されたときには“すでに危険”』線状降水帯が予測されるときに発表される情報ってすでにあったんじゃ…と思った人もいるかもしれませんが、別の情報なので注意が必要です。

気象庁は、線状降水帯が発生するおそれが高まった場合、およそ半日から6時間前を目安に気象情報の中で警戒を呼びかける取り組みを2022年6月から始めています。
この情報は大雨になる前に危険性を伝え、早めの避難などにつなげてもらうのがねらいです。

一方、今回の情報は、発達した雨雲がすでに形成されたあとに発表されます。

災害に備える準備や避難の時間は十分にない可能性が高いと考えられます。

つまり、出されたときにはすでに危険が差し迫っている状況なのです。

Q. 情報が出たらどうすれば?

A. 『すみやかに身の安全を守る行動を』
情報の運用が変わっても、位置づけは変わりません。

大雨警戒レベル「4“相当以上”」もこれまでと同じです。
気象庁は、すでに危険な状況になっていると認識して「避難指示」など自治体からの情報などを確かめ、場合によっては情報を待つことなく速やかに身の安全を確保することが重要だとしています。

Q. 情報出ていなければ安全?

A. 『情報が出ていなくても災害のおそれがあります』
情報が発表された際はもちろん、出ていないときでも、激しい雨が長時間降り続いている際などには注意が必要です。

気象庁のホームページで災害の危険度を5段階に色分けして示す「キキクル」などを参考に、自治体が出す避難情報を確認してほしいとしています。
気象庁 気象リスク対策課の橋本徹地域気象防災推進官は「新たな運用でも情報が出たときには危険な状況であることに変わりはない。『予測の情報だからまだ大丈夫』と思うことなく、自治体の避難情報を確認して適切な防災対応につなげてもらいたい」と話しています。