G7広島サミットまで1週間 警備の現状は?課題は?

G7広島サミットの開催まで1週間となり、街には全国から派遣された警察官の姿が多くみられるなど厳戒態勢となっています。

都市部で3日間にわたって開催されるため、生活への影響も想定されます。

現状と課題を探ります。

広島市の街はいま

各国で開かれているG7サミットは、警備上の理由などから都市部を避けて行われることも多く、国内の都市部での開催は1993年の東京以来となります。

開催を目前に控え、広島市の中心部では県外の警察のパトカーが多くみられるほか、制服姿の警察官も集まっていて、人員を多数配置することで犯罪を事前に抑止する「見せる警備」が重視されています。

課題1 都市部の警備 生活に影響も

メイン会場となるホテルがある宇品島は市の中心部から5キロあまり南に離れていますが、各国の首脳が平和公園などを訪れる方向となっていて、首脳が市街地を行き来することが今回のサミットの特徴です。
平和公園の周囲はすでに高さおよそ2メートルのフェンスで取り囲まれていて、サミット開催前日の今月18日の正午から関連行事が終わる21日にかけて原爆ドームを含む公園一帯で立ち入りが制限されます。

また、沿道の人たちから少しでも距離を取るため、首脳の乗った車の通行が想定される道路の一部で中央分離帯を撤去し、車線を増やす工事が行われました。

警察は市の中心部の広い範囲で首脳が通過する時間を中心に交通規制を行うことにしていて、サミット期間の前後を含めて「交通総量の半減」を市民に求めていますが、広島市の中心部では日常的に渋滞が起きていて、生活に大きな影響が出ることも想定されます。

課題2 海や空の警備も

今回のサミットでは、街なかだけでなく、海や空の警備も重要となります。

メイン会場のホテルは海抜の低い海沿いに建っているため、警察は第6管区海上保安本部と連携して警備にあたります。

また、周囲には複数の島があり、最も近い島との距離は1キロあまりとなっています。

4月にホテルを視察した警察庁の露木長官は「近くの島からのドローン攻撃など新たな脅威も想定して対応する必要がある」と指摘していて、警察は周辺の島での警戒に加えて、不審なドローンの飛行を電波で妨害する「ジャミングガン」と呼ばれる機材も導入して対策を徹底する方針です。

課題3 ソフトターゲットも注意

一方、不特定多数の人が集まる駅や商業施設など「ソフトターゲット」と呼ばれる場所を狙ったテロへの備えも必要となります。

2005年にイギリスで開かれたサミットでは、会場から遠く離れた首都のロンドンで同時多発テロが発生しました。

広島では、いずれも危険物ではなかったものの、4月25日にJR広島駅に直結する駅ビルのトイレで紙袋が置かれたままになっていて新幹線が止まる騒ぎが起きたほか、5月10日には平和公園の中でベンチに箱が置かれていて、不審物の疑いがあるとして公園の一部が規制されました。
広島駅では来週からコインロッカーが使用できなくなる予定ですが、警察は不審物や不審者にいち早く対応することが求められます。

先月、記者会見を行った広島県警の森元良幸本部長は、「テロなどの違法行為を防止するためには、地域の皆さんの気づきが大変重要になる。いつもと違うと感じることがあれば、ちゅうちょなく警察に知らせて欲しい」と呼びかけています。

強化は東京でも

警視庁は5月12日から都内の警戒レベルを引き上げパトロールを強化しています。

このうち、空の玄関口となる羽田空港の国際線ターミナルでは、警視庁の空港テロ対処部隊の警察官らが増員され、警戒にあたっています。
警察官は、移動速度が速い電動式の立ち乗り2輪車、「セグウェイ」に乗ってパトロールしたり、ゴミ箱に不審物がないか確認したりしていました。

海外では、大規模な国際会議などを狙ったテロがこれまでも相次ぎ、開催地から離れた都市が標的となる事件も起きていることから、警視庁は、きょうから警戒レベルを引き上げ、警備態勢を強化しています。

大規模な駅や空港など「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でのパトロールを強化するほか、外国大使館などの重要施設に配置する警察官を増員し、テロの未然防止につなげる方針です。
東京空港警察署 池田安夫署長
東京空港警察署の池田安夫署長は「都民の皆様にはご不便をおかけする場面もあるかもしれませんが、テロの未然防止に向け警備へのご理解とご協力をお願いしたいです」と話していました。