【動画解説】ロシア軍後退か バフムト“数十メートルの攻防”

ウクライナ東部のバフムトに対して続くロシア軍の激しい攻撃。
ウクライナ軍が、数キロの場所を奪還できたとされることは、ウクライナ軍にとっては、ここ数週間で初めての成果だとみられます。何が起きたのか。

別府正一郎 国際部記者の解説です。

(5月11日の「キャッチ!世界のトップニュース」で放送しました)

【動画:8分31秒】
(データ放送ではご覧になれません)

まず、ウクライナ側の発表です。

ロイター通信など複数のメディアによりますと、10日朝、ウクライナの部隊が「バフムトの南西にあるおよそ8平方キロメートルの場所で反撃を行い、そこをロシアの支配から取り戻せた」と最初に発表しました。その後、ウクライナ陸軍のシルスキー司令官も「ロシア軍をバフムトで2キロ後退させた」と発表しました。
一方のロシア側でも、バフムト攻略を狙う民間軍事会社ワグネルのプリゴジン代表が「ロシア軍はおよそ3平方キロメートルの場所から逃げた」とする声明を出しています。
双方の発表などの数字にそごはありますが、少なくとも、数キロの場所をウクライナ側が奪還できたとはみられます。

なぜ、バフムトでの数キロの場所がこれほど注目を集めるのでしょうか?
それは、バフムトでの戦いが「数十メートル単位での攻防」になっているからです。
ロシア軍はウクライナ東部での侵攻をさらに進めるにあたり、バフムトへの攻撃を去年7月ごろから始め、人海戦術で多数の兵力を投入してきました。最近では、9日の戦勝記念日までに攻略しようとさらにやっきになっていると伝えられていました。もっとも、この目標は達成できませんでした。

これに対し、ウクライナは防衛を余儀なくされ、バフムトは抵抗のシンボルにもなっています。しかし、兵力で勝るロシア側に押され続けています。
エコノミストは、毎日50メートルから75メートルほど後退させられているとするウクライナの当局者の話を伝えています。

そして、下の地図が示すように、3月1日はここまで奪われていたとみられ、4月5日までにさらに奪われたと見られます。

このままでは計算上、あと数週間で、ロシアに攻略されるとの見通しを示しています。