“コロナ感染状況落ち着いた” アメリカ 国家非常事態宣言解除

アメリカのバイデン政権は新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたとして、11日をもって国家非常事態宣言を解除します。

これにともなって、空路で入国する外国人に義務づけていたワクチン接種証明の提示が不要になるなど、コロナ禍で続いてきたさまざまな措置が解除されることになります。

外国人のワクチン接種証明の提示不要に

アメリカのバイデン政権は3年前から続けてきた国家非常事態宣言を11日いっぱいで解除します。

背景には、ピーク時の2021年1月以降、新型コロナによる死者が95%減少するなど感染状況が落ち着いてきているほか、国民の80%以上が少なくとも1回のワクチン接種を受けていることなどがあります。

これにともなってコロナ禍で続いてきたさまざまな措置が解除されることになり、空路で入国する日本人を含む外国人に義務づけられていたワクチンの接種証明の提示も不要になります。

このほか連邦政府職員などを対象にしたワクチン接種の義務化や、新型コロナの検査キットの無料配布が終了するほか、各州や自治体の感染状況の国への報告義務もなくなることになります。

ただ、専門家などからは検査キットの無料配布や報告義務がなくなることで、再び感染が拡大した場合の把握や対応に遅れが出るのではないかと懸念の声も出ています。

アメリカ国内の約99% 感染状況「低い」に分類

アメリカCDC=疾病対策センターによりますと、アメリカ国内の感染者数のピークは去年1月ごろで、一日平均80万人余り、死者数のピークはおととし1月ごろで、一日平均3000人余りでした。

新たに報告される感染者数や死者数は、ことし1月以降いずれもおおむね減少する傾向が続き、5月3日時点で感染者数は一日当たりおよそ1万1000人、死者数は一日当たりおよそ160人となっています。

ただ、感染者数については、最近は簡単に入手できる検査キットで自分で調べた場合は報告されないため、正確な数はわかっていません。

新型コロナウイルスのアメリカ国内での感染状況は、地域ごとに「低い」「中程度」「高い」の3段階に分類してCDCが発表していますが、5月4日時点の最新の状況で、アメリカ国内の大部分、およそ99%の地域が「低い」に分類されています。

在宅勤務が定着 地下鉄は本数減 レストランも空席目立つ

アメリカ国内では新型コロナの感染状況が落ち着いたあとも在宅勤務や週休3日の働き方を続ける企業などが多いとみられ、働き方の変化はさまざまなところに影響を及ぼしています。

ニューヨーク州の交通当局は市民が通勤手段などとして使う地下鉄について、働き方の変化の影響で月曜と金曜は火曜から木曜の3日間と比べると利用客の数が少ないとして、6月から一部の路線で本数を減らすことを計画しています。

また、ニューヨーク・マンハッタンの中心部にあるレストランでは、火曜から木曜は利用客数がコロナ前とほぼ同じ程度に戻ったということですが、月曜と金曜はコロナ前のおよそ半分で、いまも回復していません。

コロナ前は満席になっていたという金曜の夕方にレストランを訪れると、店内には空席が目立っていました。店では、従業員の数や仕入れを減らして対応しているということです。

レストランのオーナーは「以前は金曜日と言えばランチの時間も忙しかったし、夕方になると早く仕事を切り上げる人も多くて忙しかった。変わってしまったビジネスの環境に適応することが必要です」と話していました。

役場も週休3日を本格的に導入

アメリカ東部ニュージャージー州にある人口およそ6000人の町、プロスペクトパークでは、ことし2月から役場の窓口を開く日を月曜から木曜にして金曜を休みにする、週休3日の働き方を始めました。

代わりに月曜から木曜までの業務時間を延ばし、一部の職員は金曜も在宅で対応できるようにするなど、住民サービスは低下しないようにしています。

この自治体では、新型コロナの感染が広がっていた時期に週休3日の働き方を試験的に取り入れたところ、十分に対応できることがわかったため、本格的に導入することを決めたということです。

職員の1人は「孫を幼稚園に迎えに行くことができるようになったし、家族と過ごす時間も増えてとてもいいです」と話していました。

この自治体の担当者は「週休3日を導入するにあたって、職員の健康や幸福、雇用の維持という観点で何ができるかを考えた。自治体も現状から変わっていかなければならないことをコロナから学んだ」と話していました。