【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“南アからロシアに武器提供” 米大使指摘 南アは否定

南アフリカに駐在するアメリカのブリゲティ大使は、11日、地元メディアに対し、南アフリカ南部ケープタウン近くにある海軍基地でのことだとして「去年12月、ロシアの貨物船に武器や弾薬が積み込まれてロシアに運ばれたと確信している」と述べ、ロシアに南アフリカから武器などが提供されたと指摘しました。

これに関連して、アメリカ国務省のパテル副報道官も11日、「深刻な懸念を抱いている。複数の南アフリカ当局者に懸念を直接伝えている」と述べました。

これについて南アフリカ大統領府は11日に声明を出し「大使の発言は、両国の協力を損なうものだ。疑惑を裏付ける証拠はない」と否定し、独立した調査委員会を設けて事実関係を調べることを明らかにしました。

南アフリカは、ロシアのウクライナへの軍事侵攻について中立の立場だとしてきましたが、ことしの2月、ロシアと中国とともに合同の軍事演習を行い国内からはロシア寄りの立場を示したとして批判も出ていました。

中国 元駐ロシア大使の特別代表 ウクライナやロシアなど訪問へ

中国外務省の汪文斌報道官は12日の記者会見で、長年、駐ロシア大使を務めたユーラシア担当の李輝特別代表が今月15日からウクライナ、ポーランド、フランス、ドイツ、それにロシアの5か国を訪問すると発表しました。

李特別代表はウクライナ情勢をめぐり政治的な解決について各国と意思疎通を行うということです。

汪報道官は「今回の訪問は中国が和平交渉に力を尽くしていることを改めて示したもので、平和の側に立っていることを十分に表している」と強調しました。

そのうえで「中国は引き続き建設的な役割を果たし、ウクライナ危機の政治的な解決のために貢献していきたい」と述べました。

習近平国家主席は先月、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で「中国はウクライナと協力しできるだけ早い停戦や平和の回復のために努力する」などと述べていて、特別代表の訪問が具体的な成果につながるか注目されます。

ロシア SNS上で広がる情報を異例の否定

ロシアでは11日、SNS上でウクライナ東部の激戦地バフムト近郊や南部ヘルソン州などでウクライナ軍の反転攻勢に向けた動きが出ているとする投稿が相次ぎ、ロシアの有力紙「コメルサント」は「ウクライナの反撃開始の可能性が伝えられた」と報じました。

これに対してロシア国防省は、11日夜になって「個々に拡散された各地での『突破』についての記述は事実ではない」とSNSで発表しました。

国防省がネット上で広がる情報を公式に否定するのは異例のことです。

ウクライナ軍の反転攻勢の動きに神経をとがらせていることがうかがえます。

ウクライナ産農産物の輸出 ロシア側「合意破棄も」

去年7月に合意したウクライナ産の農産物の輸出の枠組みをめぐり、11日までの2日間トルコのイスタンブールでロシアとウクライナ、そして仲介役の国連とトルコによる協議が行われました。

協議のあとトルコ国防省は「建設的だった」と評価し、アカル国防相も「トルコの望みは合意が延長されることだ」と強調しました。
また国連のグリフィス事務次長は「世界の食料安全保障のためにこの取り組みは重要だ」と述べました。

ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相もツイッターで「ウクライナ側は合意の延長に向けて働きかけている」と強調しました。

一方、ロシアのベルシーニン外務次官はロシアの国営通信社に対し「われわれの利益に反して行動するつもりはない」と述べ、ロシア産の農産物や肥料の輸出を改めて求めました。

輸出の枠組みについて仲介役のトルコ政府はさらに2か月間の延長を目指す考えを示していますが、ロシア側は要求に応じない場合、今月18日以降、合意を破棄することも示唆し、欧米側に揺さぶりを続けています。

ゼレンスキー大統領「もう少し時間が必要だ」

ゼレンスキー大統領は10日、イギリスの公共放送BBCなどとのインタビューに応じ、領土の奪還を目指した反転攻勢について「軍の士気の面でも、部隊の人員配置の面でも準備はできている」と強調しました。
そのうえで欧米側から供与される装備がすべて届いているわけではないとして「必要な数の装甲車が届くのを期待している。部分的には来ていてそれだけでも前進はできるが、多くの命を失うことになる。もう少し時間が必要だ」と述べ反転攻勢の開始にはまだ時間がかかるという考えを示しました。

射程250キロ以上 巡航ミサイルをウクライナに供与 イギリス

ウクライナへの軍事支援を続けるイギリスのウォレス国防相は11日、議会で、ウクライナに巡航ミサイル「ストームシャドー」を新たに供与したことを明らかにしました。
製造会社によりますと「ストームシャドー」は戦闘機から発射され、赤外線監視装置を搭載した高精度の巡航ミサイルです。射程は250キロ以上と、これまでアメリカが供与を表明した中で最大の射程を持つロケット弾「GLSDB」を100キロ程度、上回ります。

ウォレス国防相は「『ストームシャドー』を使うことで、ウクライナは自国の領土内でロシア軍を押し返すことができる」と、その効果を強調しました。

その一方で「これはロシアが使っている、射程が2000キロを超える巡航ミサイルと同じ部類の兵器ではない。ロシアが攻撃をエスカレートさせているのに合わせた対応だ」と述べ、戦闘を激化させる狙いはないとしています。

米中高官 ウクライナ情勢など協議 対話継続で一致

アメリカのホワイトハウスはサリバン大統領補佐官と中国で外交を統括する王毅政治局委員が10日と11日、オーストリアの首都ウィーンで会談したと発表しました。

発表によりますと双方はロシアによるウクライナ侵攻や台湾情勢などについて協議し、両国の間で対話を継続していくことで一致したとしています。また、会談について「率直で実質的、建設的な議論をした」としています。

G7財務相・中央銀行総裁会議 ウクライナ支援などで結束

G7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議が11日に新潟市で開幕しました。

会議では、ウクライナのマルチェンコ財務相もオンラインで参加し、侵攻を続けるロシアへの経済制裁の効果を高めるために、G7が結束して制裁回避への対策を進めることを確認しました。

また、日本は、ウクライナからの避難民の受け入れを進めてきた周辺国を対象に政府系金融機関の国際協力銀行を通じて10億ドル=日本円で1300億円規模の支援を行う方針を表明しました。

そのうえで、各国の政府系金融機関と連携してウクライナへの資金支援を継続することで一致しました。