ロシア 兵器の保有上限定めた欧州通常戦力条約 脱退向け審議へ

ロシアのプーチン政権は、NATO=北大西洋条約機構とのあいだで通常兵器の保有上限を定めたCFE=欧州通常戦力条約について、条約の脱退に向けて議会で審議する方針を発表しました。ウクライナ支援を行う欧米へのけん制を強めるねらいとみられます。

CFE=欧州通常戦力条約は冷戦時の東西両陣営の対立を前提として戦力均衡を図る目的でヨーロッパにおける通常兵器の保有上限を定めたものです。

1990年にNATOと当時のワルシャワ条約機構とのあいだで調印されました。

ロシア大統領府は10日、CFE条約の脱退に向けて議会で審議するとして、プーチン大統領が関連する法案を議会下院に提出し、リャプコフ外務次官をその担当者に指名したと発表しました。

CFE条約をめぐってロシアは1999年に批准していますが、NATOとの対立が続く中、2007年に履行を停止しています。

議会下院で国際問題を担当する委員会のスルツキー委員長は「条約は長い間、書類上で存在するだけのものになっている。現状を考えると脱退に向けた議論がロシアの国益と安全を強化することに役立つだろう」としています。

欧米諸国がウクライナへの軍事支援を強化する中、プーチン政権としては条約の脱退を表明することで欧米へのけん制を一段と強めるねらいとみられます。

ロシア国営通信社は今月16日に議会で審議される可能性があると伝えています。