新型コロナ対応の記録公表 政府分科会 尾身会長ら約90人が執筆

新型コロナウイルスの対応にあたってきた政府分科会の尾身茂会長などの専門家や、全国の自治体の担当者などが、これまでの対応を振り返る記録を、まとめて公表しました。次のパンデミック対応の参考にしてほしいとしています。

この記録は、2020年以降の新型コロナウイルスの対応について、政府分科会のメンバーの専門家や政府や全国の自治体の担当者など、およそ90人が執筆しました。

記録では、当初の対応から感染状況を把握する体制や保健所や医療の体制、ワクチンや治療薬の確保、それに、社会生活への影響まで、当事者が実際に行った対応と得られた教訓が記されています。

当事者のコラムも掲載され、政府分科会の尾身会長は、リスクを評価し、取るべき対策を提言することが専門家の役割だとしたうえで、布マスクの全世帯配布などを例に、政府と専門家の間で考え方が異なることはありえるとして「専門家の意見を聞いたうえで、政府が対策の方針を決め、その理由を説明するという明確な意思決定のプロセスを確立しておく必要がある」と指摘しています。

また、厚生労働省の専門家会合の脇田隆字座長は、科学的に十分に精査されていない内容の資料が厚生労働省から突然出てきたこともあり、リスクの分析と評価をする専門家の思いと、厚生労働省の立ち位置との折り合いをつけるのに苦労したなどと振り返っています。

この記録は、日本公衆衛生協会のウェブサイトで公表されていて、次回のパンデミック対応の参考にしてほしいとしています。