こうした中、バイデン大統領は9日、ホワイトハウスで野党・共和党のマッカーシー下院議長ら議会の指導部と会談し、上限の引き上げに向けて協力を要請しました。
会談後、マッカーシー議長は記者団に対し、上限の引き上げには大規模な財政支出の削減が必要だとしたうえで、「協議に進展はなかった」と述べました。
一方、バイデン大統領は記者会見で上限の引き上げについて「もっとも重要な問題だ」と述べて問題が解決しなければ、来週行われるG7広島サミットを欠席する可能性も示唆しました。
アメリカでは、これまでも借金の上限問題をめぐって与野党がたびたび対立していて、交渉が難航して債務の不履行が意識されると世界の金融市場に混乱を引き起こすおそれがあり、警戒感が高まっています。
米バイデン大統領 債務上限 議会に協力要請も進展なし
アメリカでは政府が借金できる上限が決められています。議会が上限の引き上げなどに応じなければ、来月にも債務不履行に陥りかねない中、バイデン大統領は野党・共和党の下院議長らと協議して協力を要請しましたが大きな進展はありませんでした。
アメリカでは、財政規律を守るため政府が国債などを発行して、借金できる上限をあらかじめ議会が定めています。
ことし1月に借金が上限に達したため、財務省が臨時に資金を確保する特別措置を始めましたが、イエレン財務長官は議会が上限の引き上げなどに応じなければ、来月1日にも債務の不履行に陥るおそれがあると明らかにしています。

松野官房長官「米政府から通告など一切受けていない」
松野官房長官は午前の記者会見で「他国の内政問題にコメントすることは差し控えるが、アメリカ政府から本件にかかる通告などは一切受けていない。いずれにせよG7広島サミットではアメリカとも緊密に連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとのG7=主要7か国の強い意思を力強く世界に示したい」と述べました。