“空港の保安検査 大型連休は一部緩和” 人手不足で国交省通知

保安検査員の人手不足による空港の混雑に対応するため、国土交通省が大型連休の期間にかぎって上着や靴の検査の一部を事実上緩和できるとする通知を出していたことが分かりました。
保安レベルの維持も求めており、従来どおり検査した空港も少なくないということですが、専門家は「G7サミットなどもあり警戒レベルを高く保つべきで人手不足対策が急務だ」と指摘しています。

空港の保安検査員は、コロナ禍による航空需要の激減で離職が相次ぎ、去年9月時点で感染拡大前から2割ほど減少していて、各地の空港で検査を待つ長い列が生じるなど影響が出ています。

このため国土交通省が、大型連休中にはさらなる混雑が予測されるとして、先月27日から8日までにかぎって、弾力的な運用だとして、検査の一部を事実上緩和できるとする通知を出していたことが関係者への取材で分かりました。

対象は、通常は脱いでもらいX線検査を求めている上着や厚底靴などで、▽上着はポケットに物品がない場合は着用したまま、▽厚底靴やブーツなどは不審な点がなければ履いたままで、金属探知器検査を行うゲートを通過させることができるとしました。

こうした上着や靴の検査は、国土交通省が「テロに強い空港」を目指して4年前から強化していたもので、今回の通知では保安レベルを維持することも求めていて、関係者によりますと、従来どおり検査が行われた空港も少なくないということです。

テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長は「上着や靴のX線検査は安全確保のために必要で、G7サミットなどもあり警戒レベルを高く保つべきだ。保安検査員の確保は今後も困難が予想され、『スマートレーン』という新しい設備の導入や、検査員の処遇改善など人手不足対策が急務だ。乗客も感染拡大前とは状況が異なると理解し、早めに空港に来ることなどが求められる」と指摘しています。