カナダ「好ましからざる人物」中国外交官の国外退去求める

カナダ政府は8日、中国の外交官を「好ましからざる人物」に指定し国外退去するよう求めたと発表しました。カナダの地元紙は、この外交官が中国の新疆ウイグル自治区の人権状況に批判的なカナダの下院議員などに圧力をかけようとしたと伝えています。

これはカナダのジョリー外相が8日、発表したもので、中国の外交官1人をペルソナ・ノン・グラータ「好ましからざる人物」に指定し国外退去するよう求めたということです。

詳しい理由は明らかにされていませんが、ジョリー外相は「外国からの内政干渉はいかなる形でも容認できない。外交官がこのようなふるまいをすれば、自国に送還されることになる」とする声明を発表しました。

カナダの地元紙の報道では、この外交官が、中国の新疆ウイグル自治区の人権侵害を非難するカナダ下院の決議を支援した保守党の議員と、その親族に圧力をかけようとしたと伝えられています。

これに対し、カナダにある中国大使館の報道官は、声明で国外退去を求められたのは、トロントにある総領事館の外交官だとした上で、「深刻な国際法違反だ。中国側は断固とした対抗措置を講じる」と強く反発しています。

両国をめぐっては5年前、カナダ当局が中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイの副会長を逮捕した一方、中国当局がカナダ人2人を拘束したことなどから関係が悪化していて、両国間の緊張がさらに高まることも予想されます。

中国 対抗措置で上海にあるカナダ総領事館の外交官を国外退去に

カナダ政府が、中国の外交官1人をペルソナ・ノン・グラータ「好ましからざる人物」に指定し、国外退去するよう求めたことを受けて、中国外務省は9日、報道官の声明を発表し、対抗措置として、上海にあるカナダ総領事館の外交官1人を今月13日までに国外退去するよう求めたことを明らかにしました。

そのうえで、さらなる対抗措置を行うことも示唆しています。

中国外務省報道官 対抗措置を正当化

中国政府がカナダ政府への対抗措置として、上海にあるカナダ総領事館の外交官1人に国外退去を求めたことについて、中国外務省の汪文斌報道官は、9日の記者会見で「中国が、みずからの合法的な権利と利益を守るために行ったもので、完全に正当で必要な措置だ」と述べ、対抗措置を正当化しました。

その上で「われわれはカナダに不当な挑発を直ちにやめるよう求める。カナダがわれわれの忠告を聞かないのであれば、中国は断固とした力強い反撃を行う。それによって生じる結果はすべてカナダが負うことになる」と述べ、さらなる対抗措置を行うことも示唆しました。