外国人の収容のあり方見直す入管法の改正案 衆院本会議で可決

外国人の収容のあり方を見直す入管法の改正案が、衆議院本会議で自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

出入国管理法などの改正案は、難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は、「相当の理由」を示さなければ適用しないことや退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活できることなどが盛り込まれています。

また、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党の協議の結果、難民認定が適正に行われるよう、専門的な職員を育成することなどの修正が加えられています。

9日の衆議院本会議では、改正案の採決に先立って、討論が行われました。

自民 熊田裕通氏「共生社会実現の基盤となるルール作り」

自民党の熊田裕通議員は、賛成の立場から「外国人と日本人とが安全・安心に暮らせる共生社会を実現するためには、日本人が外国人への差別や偏見をなくし、人権を尊重することはもちろん当然だが、必要なルールを定め、外国人にもルールを守ってもらうことも、また当然だ。本法律案は、こうした共生社会実現の基盤となるルール作りだ」と述べました

立民 米山隆一氏「全く不十分なものと言わざるをえない」

一方、立憲民主党の米山隆一議員は反対の立場から「外国人や難民の人権が守られる法制度を作らなければいけないが、提出された法案は全く不十分なものと言わざるをえない。この法案を廃案にし、ともに知恵を出して制度設計を根幹からやり直し、迫害に苦しむすべての人に、公正で明確で十分な審査が制度的に保障される法律をつくろうではないか」と述べました。
このあと、採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

立憲民主党と共産党、れいわ新選組などは反対しました。

改正案をめぐっては、立憲民主党も含めて与野党で修正協議が行われましたが、立憲民主党は与党の修正案は不十分だとして反対したため、立憲民主党が求めていた、難民認定での「第三者機関の設置」に関しては盛り込まれませんでした。

松野官房長官「引き続き法案の内容や必要性 丁寧に説明」

松野官房長官は、午後の記者会見で「改正案は送還忌避、長期収容問題の解消、真にひごすべきものを確実に保護する制度の整備など、現行法の課題を一体的に解決し、適正な出入国在留管理を実現するバランスのとれた制度にしようとするものだ。引き続き、法案の内容や必要性について広く国民に理解してもらえるよう丁寧に説明していく」と述べました。

立民 泉代表「政府・与党に変える方針見られず反対」

立憲民主党の泉代表は、党の会合で「国際水準から大幅に遅れている現在の入管行政を抜本的に変えるものでなければ賛成はできない。最大限の努力をしたが、残念ながら政府・与党に変える方針が見られず、反対した。対案となる法案を参議院に提出したので、われわれの考え方を国民に訴えていきたい」と述べました。