人出は戻った?大型連休の人の移動ビッグデータを解析

行動制限のないことしの大型連休、久しぶりの旅行やレジャーを楽しんだ方も多かったと思います。計画の時点で気になるのが「ことしはどれぐらい混むのか」だったと思いますが、予想と比べて実際はどうでしたか?

今回、携帯電話のビッグデータ解析からは、人出が感染拡大前の水準までほぼ回復した地域と、回復が鈍い地域で差が出ていることが分かりました。

都道府県をまたいだ移動は?

NHKは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータを使い、大型連休が始まった先月29日からの9日間について都道府県をまたいで移動した人の数を調べました。

※データ提供:モバイル空間統計(ドコモ・インサイトマーケティング)
※対象:15歳~79歳。訪日外国人旅行者は含まず。
※期間:各年の大型連休の期間、午後3時台の平均値を比較。
感染拡大前の2019年を100%として、毎年の大型連休の期間の結果を比較した図がこちらです。
感染拡大直後の2020年は35%と大きく落ち込みましたが、その後は徐々に回復傾向で、去年には88%と前の年の61%から大きく伸びました。

一方、ことしの大型連休の期間は88%と去年とほぼ同じ結果となりました。

移動した人はどこへ?

都道府県をまたいで移動した人がどこを訪れたかを集計すると、
最も多かったのは
▽東京都で、感染拡大前の2019年を上回る101%、
次いで、
▽沖縄県が99%、
▽大阪府と神奈川県が96%
▽埼玉県が95%と
ほぼ感染拡大前の水準まで回復していました。

一方で、
▽青森県が69%、
▽秋田県が71%、
▽長崎県と鹿児島県が72%、
▽宮崎県が74%と、
あわせて18の県では感染拡大前の8割未満にとどまっていました。

専門家「コロナで人々の旅行形態 変化か」

こうした傾向について、人の移動の分析に詳しい早稲田大学の佐々木邦明教授は「この大型連休では、ある程度人出が戻ってきていると思っていたので、去年とほぼ変わらない結果は意外に感じた。ただ、コロナ禍によって自粛が続いたことで人々の旅行形態が変化してしまった可能性がある。その結果、大都市圏での観光需要が回復する一方で、特に遠方や高齢者の多い地方への人の移動の戻りが鈍くなっているとも考えられ、今後、地方経済への影響も危惧される」と話しています。