トルコ大統領選 投票まで1週間 エルドアン大統領に逆風

今月14日の投票まで1週間となったトルコ大統領選挙では、物価の高騰などを受けて、再選を目指すエルドアン大統領が逆風にさらされています。

トルコはウクライナ情勢においても仲介役を買って出ていて、選挙の結果は国際情勢にも影響を与えるだけにその行方が注目されます。

トルコの大統領選挙には4人が立候補していて、再選を目指すエルドアン大統領と最大野党の党首で、6つの野党の統一候補として立候補したクルチダルオール氏の事実上の一騎打ちとなっています。

エルドアン大統領はロシアの軍事侵攻が続くウクライナからの農産物の輸出の合意をはじめ、トルコの仲介外交の成果を誇るなど、首相時代も含め20年にわたる政権運営の実績を訴えています。

これに対し、クルチダルオール氏はエルドアン政権のもとで「通貨安や物価高騰が起きた」と指摘しているほか、ことし2月に南部で発生した大地震をめぐっては、耐震基準を満たさない建物の建築を許したことが多くの犠牲をもたらしたと批判しています。

また、外交面ではエルドアン大統領のもとでぎくしゃくした欧米各国との関係改善を打ち出しています。

調査会社各社による最新の世論調査では、クルチダルオール氏がわずかにリードしているものの、一部ではエルドアン大統領が追い上げているという結果も出ていて、接戦が予想されています。

今月14日は議会選挙の投票も同時に行われるほか、大統領選挙については、過半数を獲得する候補がいなければ今月28日に上位2人による決選投票が行われます。

国民からはエルドアン大統領に厳しい声も

トルコの大統領選挙の投票まで1週間となる中、再選を目指すエルドアン大統領をめぐっては、国民から支持する声のほか、政権交代を強く求める声も上がっています。

イスタンブールで話を聞いたところ、工場で働いているという36歳の男性は「今の生活に満足している。エルドアン政権を変える必要はないと思う」と述べ、エルドアン氏に投票すると話していました。

一方、44歳の運転手の男性は「経済状況が悪く、生活が安定しないのは政府のせいだと思っている。クルチダルオール氏に投票する」と話していました。

震源に近い南部カフラマンマラシュでも話を聞きました。

50歳の女性は「長年エルドアン氏が自分たちの生活を楽にしてくれたと感じている」として、エルドアン氏の続投を支持するとしています。

一方、避難先から投票のために一時的に戻ってきたという43歳の女性は「地震のせいではなく施工主などの怠慢で家が壊れたのです。この状況を作り出した政府を支持する気はありません」と批判し、クルチダルオール氏に投票すると話していました。