ワグネル代表 バフムトから離脱表明 ロシア側の混乱浮き彫りに

ロシアが侵攻するウクライナ東部の激戦地バフムトをめぐり、ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表は、弾薬が不足しているとして国防省の対応を批判し、バフムトから離脱すると表明しました。プーチン政権が重視する第2次世界大戦の戦勝記念日を目前に控えるなか、ロシア側の混乱がさらに浮き彫りとなったかたちです。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、東部ドネツク州の激戦地バフムトの完全掌握に向けて攻撃を続けています。

こうしたなか、バフムトの戦闘でロシアの正規軍とともに戦闘に加わっている民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏は5日、SNSで動画と声明を発表しました。

このなかで、プリゴジン氏は、4月から極端な弾薬不足に陥っていると訴えた上で、プーチン大統領とショイグ国防相、それにゲラシモフ参謀総長に対して「弾薬がない中で不当に損失が出ることは受け入れられない。われわれは5月10日にバフムトから離脱する」と表明しました。

バフムトでは、ワグネルの戦闘員にも多くの死傷者が出ているとみられていて、プリゴジン氏としては、最前線からの離脱を警告することで、弾薬の供給に向けて国防省などへの圧力を強めるねらいもあるとみられます。

これに対し、ロシア国防省は5日、ショイグ国防相がウクライナの戦地に送られる兵器や装備品の状況を点検したとして、部隊を視察する様子の映像を公開し、前線への物資補給に取り組む姿勢をアピールする思惑もあるとみられます。

ロシアでは、今月9日にプーチン政権が重視する第2次世界大戦の戦勝記念日を控えていて、プーチン政権としては国民に戦果を示すためにもバフムトの完全掌握を目指してきました。

こうしたなか、今回のワグネルの代表の表明によって、ロシア側の混乱がさらに浮き彫りとなったかたちです。