WHO 新型コロナ「緊急事態宣言」終了を発表

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、5日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出している「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表しました。

これは、5日の会見でWHOのテドロス事務局長が明らかにしました。

WHOは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年1月、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、これを受けて各国は感染対策やワクチン接種などの対応を強化してきました。

WHOは、4日、専門家による委員会を開き、この宣言を解除できるか検討しました。

テドロス事務局長は死亡率が低下し、医療システムへの負担が減少するなど、多くの国で生活が通常に戻っていると指摘した上で委員会はこうした現状を踏まえて宣言の終了を勧告したということです。

これを受けて、テドロス事務局長は会見で「勧告を受け入れ、緊急事態の終了を宣言する」と述べました。

一方で、「これは新型コロナがもう世界的な脅威ではないという意味ではない。ウイルスは命を奪い続けている」と強調しました。

そのうえで、「各国は緊急態勢から、新型コロナを他の感染症と同様に管理するように移行する時期が来た」と述べ、警戒を解かないよう、呼びかけました。

3年前の1月からおよそ3年3か月にわたって出されていた緊急事態宣言の終了が決まり、世界の新型コロナ対策は大きな節目を迎えたことになります。

政府分科会 尾身会長「判断は適切 ただ終息した訳ではない」

WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表したことについて、政府分科会の尾身茂会長は「世界的に感染者数が少しずつ減り、直近では亡くなる人の数も減って医療の負荷が軽減されてきている。日本でも感染症法上の位置づけを『5類』に移行する対応をとる中でもあり、WHOの判断は適切なのではないか」と述べました。

その上で「ただ、これで新型コロナの感染が終わった、終息したという訳ではない。今後、感染が低いレベルに向かっていくことを期待したいが、これからも感染者数が急増し、医療がひっ迫する事態になってしまうこともあり得る。市民自身が個人の判断で、いままでの経験を元に感染リスクの高い行動を控えめにするなどの対応をとることが、これまでと変わらず有効な対策になると思う」と指摘しました。