【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領「プーチン大統領処罰されるのにふさわしい」

ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、ICC=国際刑事裁判所のあるオランダのハーグで演説し、軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領について「犯罪行為で処罰されるのにふさわしい」と強調した上で、プーチン大統領を戦争犯罪で裁くための特別法廷の設置を訴えました。

国際刑事裁判所はことし3月、ウクライナの占領地域から子どもたちをロシア側に移送したとして国際法上の戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を出しています。

ロシア大統領府報道官 “ウクライナによるもの” 改めて強調

ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、記者団に対し、無人機によるクレムリンへの攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだと改めて強調しました。

そのうえで「アメリカの指示に従ってウクライナが攻撃の手段と標的を選んでいることを、われわれは知っている。ウクライナやアメリカが関与を否定するのはばかげたことだ」と述べ、無人機の攻撃にはアメリカも関与しているとする主張を展開しました。

一方、ペスコフ報道官は「困難な状況でも大統領は常に冷静だ」と強調したうえで、今月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日で、クレムリン近くの赤の広場で行われるプーチン大統領の演説や軍事パレードは予定どおり、実施されるとしています。

ロシアメディアは

ロシアメディアは、爆発の瞬間をとらえたとする映像をもとに、1機は、クレムリンの敷地内にある建物のドーム型の屋根の上空で爆発したようだと伝えています。

この建物は赤の広場と城壁を隔てて隣り合い、大統領が執務する官邸として使われる、いわば権力の中枢です。

また、国営のロシアテレビなどは
▼1機目が現地時間3日の午前2時27分に、
▼2機目は午前2時43分に、
それぞれ飛来してきたと伝えています。

これを受けて強硬発言を繰り返す、前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は3日、SNSに「もはやゼレンスキー氏らを物理的に排除する以外に選択肢はない」と投稿しました。

一方、ロシアの有力紙「コメルサント」は関係筋の話として「ウクライナから発射された無人機がクレムリンまで到達できるか疑問だ」と伝えたほか、ほかのロシアメディアも発射地点はロシア国内ではないかとする専門家の見方を伝えています。

米シンクタンク “ロシア側の自作自演の可能性も”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日、プーチン政権の主張について「モスクワなどで防空能力が強化される中、無人機が防空システムをかいくぐり、クレムリンの上空で爆発や撃墜された可能性は極めて低い」としてロシア側が侵攻を続けるため、新たな国民の動員に向けて自作自演を行った可能性もあるという見方を示しました。

また今月9日にロシアで第2次世界大戦の戦勝記念日が迫る中、「クレムリンは、今回の出来事を利用して、式典を中止するか制限することを正当化する可能性がある」とも指摘しています。

ロシア 石油貯蔵施設で火災 “無人機による攻撃” 国営通信

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアに近いロシアのクラスノダール地方で4日、石油の貯蔵施設が攻撃を受け火災が発生したと地元の知事がSNSに投稿しました。

このなかで知事は「石油貯蔵施設で400平方メートルにわたり火災が起きた。けが人はいない」としていてロシア国営通信社は当局の話として「正体不明の無人機による攻撃だ」と伝えています。

クラスノダール地方では、前日の3日にもクリミアに近い石油貯蔵施設で火災が起き、当局側は無人機による攻撃との見方を示していました。

また4日にはロシア南部ロストフ州の知事が石油精製工場の施設に無人機が衝突し、火災が起きたとSNSで発表したほか、西部ボロネジ州の知事も「けさ早く、防空システムが無人機を撃墜した」とSNSに投稿していて、ウクライナと国境を接するロシアの州で無人機による攻撃が相次いでいるとしています。

ウクライナが近く大規模な反転攻勢に乗り出す構えを示すなか、ロシア側は警戒を強めているものとみられます。

南部ヘルソン州 鉄道の駅など攻撃受け23人死亡46人けが

ウクライナ南部ヘルソン州では3日、州内の複数の場所がロシア軍による攻撃を受け、州当局はこれまでに23人が死亡し、46人がけがをしたことを明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、ヘルソン州内の鉄道の駅やスーパーマーケットなどが攻撃された写真をSNSに投稿し「決して犯人を許さない。邪悪な国家を打ち負かし、責任を負わせる」と強く非難しました。

ヘルソン州の当局は多くの市民が亡くなったことを受けて4日から3日間の喪に服すと発表しました。

また、今月5日の午後8時から8日の午前6時まで外出禁止令を出すことも発表し、警戒を強めています。

クレムリンに無人攻撃か 被害なし ロシア大統領府

ロシア大統領府は、プーチン大統領を狙って首都モスクワのクレムリンをウクライナの無人機が攻撃しようとしたと主張し、報復措置をとると発表しました。

ロシア大統領府は3日「2機の無人機が夜、首都モスクワのクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした。無人機は軍や特殊部隊によってレーダーで無力化され、クレムリンの敷地内に破片が落下した。被害は出ていない」などと発表しました。

また「大統領にけがはなく、大統領のスケジュールに変更はない」としています。ロシアでは今月9日、第2次世界大戦の戦勝記念日を迎え、クレムリン近くの赤の広場ではプーチン大統領の演説や軍事パレードが予定されています。

ロシア大統領府「ゼレンスキー政権によるテロ行為だ」

大統領府は無人機による攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだとしていて「戦勝記念日の前に行われたものだ。ロシアの大統領を狙ったテロ行為だ」と主張しています。そのうえで「ロシアは適切な時期と場所で報復する権利がある」として報復措置をとるとしています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン大統領は当時、モスクワ郊外の公邸にいてクレムリンにはいなかったとしたうえで、「軍事パレードは行われる。計画は変わらない」として9日の戦勝記念日のパレードは予定どおり実施されるとしています。

ロシア大統領府は3日、プーチン大統領がモスクワ郊外の公邸でロシア西部の州知事から報告を受けるなど通常の公務を行う様子を公開しました。

またモスクワのソビャーニン市長は、事態を受けてモスクワ上空では当局が許可したものを除きすべての無人機の飛行を禁止したと発表しました。

ウクライナ大統領「プーチン大統領を攻撃することはない」

ロシア大統領府が、首都モスクワのクレムリンを狙ってウクライナによる無人機の攻撃があったと主張していることについてウクライナのゼレンスキー大統領は訪問先のフィンランドで行われた会見で「われわれがプーチン大統領やモスクワを攻撃することはない。自国の領土のために戦うだけだ」と述べて関与を否定しました。そしてロシアがウクライナによる攻撃だと主張する意図について、「ロシアは何も勝ち得ていない。プーチン大統領は国民を前進させるために何らかの動機づけが必要なのではないか」と述べました。

米国務長官「到底うのみにはできない」

アメリカのブリンケン国務長官は「この件で確認できることはない。ロシア政府が言うことは到底うのみにはできず、何が事実かを見極めていく」と述べ、事実関係を調査中だとの立場を示しました。

またブリンケン長官はもしウクライナがロシアの領土を攻撃すると決めた場合アメリカは批判するかと聞かれたのに対し、「ウクライナがどのように自国を防衛し領土を取り戻すかは、ウクライナが決めることだ」と述べました。

一方、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は会見で「アメリカは戦争が始まった当初からウクライナ軍が国外で爆撃を行うことを推奨しておらず、それを可能にするような支援もしていない」と強調しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領 “欧米各国に兵器供与 求める”

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、NATO=北大西洋条約機構に先月、加盟したフィンランドをロシアによる軍事侵攻後初めて訪問し、ニーニスト大統領と会談しました。

会談後の共同記者会見でゼレンスキー大統領は「われわれはまもなく反転攻勢に出る。そして戦闘機が供与されると確信している」と述べ、領土の奪還に向けた大規模な反転攻勢に近く乗り出すと強調し、欧米各国に対して戦闘機を含めた兵器の供与を求めました。

また「われわれの目標はNATOに加盟することだ。それが訪問した理由の一つだ」と述べ、フィンランドに対して加盟に向けた協力を呼びかけました。

一方、ニーニスト大統領は「われわれはウクライナを支援し続けることを伝えた」と述べました。そして戦闘機の供与については、ロシアとおよそ1300キロにわたって国境を接しているため防衛力を維持する必要があるとして「戦闘機を手放すわけにはいかない」と述べ、直ちに供与することは現実的ではないという考えを示しました。

米国防総省 空中発射ロケット弾など供与へ

アメリカ国防総省は3日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し、最大3億ドル、日本円にして、およそ405億円相当の新たな軍事支援を行うと発表しました。今回の支援では、戦闘機などに搭載し空中で発射するロケット弾を初めて供与するほか、りゅう弾砲や高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾などを追加で供与するとしています。国防総省によりますと、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカの軍事支援は総額で357億ドル、日本円にして4兆8000億円余りにのぼるということです。

国防総省は声明で「アメリカは同盟国などと協力してウクライナが戦場で緊急に必要としている兵器などを供与し続ける」と強調しています。

EU 砲弾など増産へ防衛産業支援の方針

ウクライナに対して軍事支援を続けるEU=ヨーロッパ連合は、ウクライナが供与を求める砲弾やミサイルを域内で増産するため、防衛産業に対して5億ユーロ、日本円で740億円余りの支援を行う方針を明らかにしました。

EUはウクライナへの軍事支援として1年で100万発の砲弾などを供与することを目指していますが、冷戦終結以降、各国は防衛産業への投資を縮小してきたため短期間で生産体制を強化できるかが課題になっています。支援は▽生産設備の増設や更新▽重要な部品や原材料の確保と備蓄▽人材育成などの取り組みへの補助金にあてられるということです。

ホワイトハウス ロシアの死傷者について訂正

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は今月1日、ウクライナ東部の激戦地バフムトとその周辺での去年12月以降のロシア側の死傷者はおよそ10万人にのぼるという見方を示していましたが、ホワイトハウスの当局者は3日、NHKの取材に対し、ウクライナ東部における死傷者の数だったと訂正しました。

10万人のうち死者は2万人以上で、その半数はロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員だとしています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日記者団に対し、「アメリカは正しい死傷者の数についてわかるはずがない。完全にでたらめだ」と反論しています。