【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

クレムリンに無人攻撃か 被害なし ロシア大統領府

ロシア大統領府は、プーチン大統領を狙って首都モスクワのクレムリンをウクライナの無人機が攻撃しようとしたと主張し、報復措置をとると発表しました。

ロシア大統領府は3日、「2機の無人機が夜、首都モスクワのクレムリンにある大統領府を攻撃しようとした。無人機は軍や特殊部隊によってレーダーで無力化され、クレムリンの敷地内に破片が落下した。被害は出ていない」などと発表しました。

また「大統領にけがはなく、大統領のスケジュールに変更はない」としています。ロシアでは今月9日、第2次世界大戦の戦勝記念日を迎え、クレムリン近くの赤の広場ではプーチン大統領の演説や軍事パレードが予定されています。

ロシア大統領府「ゼレンスキー政権によるテロ行為だ」

大統領府は無人機による攻撃の試みはウクライナのゼレンスキー政権によるものだとしていて「戦勝記念日の前に行われたものだ。ロシアの大統領を狙ったテロ行為だ」と主張しています。そのうえで「ロシアは適切な時期と場所で報復する権利がある」として報復措置をとるとしています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン大統領は当時、モスクワ郊外の公邸にいてクレムリンにはいなかったとしたうえで、「軍事パレードは行われる。計画は変わらない」として9日の戦勝記念日のパレードは予定どおり実施されるとしています。

ロシア大統領府は3日、プーチン大統領がモスクワ郊外の公邸でロシア西部の州知事から報告を受けるなど通常の公務を行う様子を公開しました。

またモスクワのソビャーニン市長は、事態を受けてモスクワ上空では当局が許可したものを除きすべての無人機の飛行を禁止したと発表しました。

ウクライナ大統領「プーチン大統領を攻撃することはない」

ロシア大統領府が、首都モスクワのクレムリンを狙ってウクライナによる無人機の攻撃があったと主張していることについてウクライナのゼレンスキー大統領は訪問先のフィンランドで行われた会見で「われわれがプーチン大統領やモスクワを攻撃することはない。自国の領土のために戦うだけだ」と述べて関与を否定しました。そしてロシアがウクライナによる攻撃だと主張する意図について、「ロシアは何も勝ち得ていない。プーチン大統領は国民を前進させるために何らかの動機づけが必要なのではないか」と述べました。

ウクライナ大統領報道官 関与を否定

ロシア大統領府が、首都モスクワのクレムリンを狙ってウクライナによる無人機の攻撃があったとしていることについて、ウクライナのゼレンスキー大統領の報道官は声明を出し「ゼレンスキー大統領が繰り返し述べているように、ウクライナは全ての利用可能な戦力や資金を自国の領土解放のために差し向けているのであって、国外への攻撃のためではない」と述べて、関与を否定しました。

米国務長官「到底うのみにはできない」

アメリカのブリンケン国務長官は「この件で確認できることはない。ロシア政府が言うことは到底うのみにはできず、何が事実かを見極めていく」と述べ、事実関係を調査中だとの立場を示しました。

またブリンケン長官はもしウクライナがロシアの領土を攻撃すると決めた場合アメリカは批判するかと聞かれたのに対し、「ウクライナがどのように自国を防衛し領土を取り戻すかは、ウクライナが決めることだ」と述べました。

一方、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は会見で「アメリカは戦争が始まった当初からウクライナ軍が国外で爆撃を行うことを推奨しておらず、それを可能にするような支援もしていない」と強調しました。

ホワイトハウス ロシアの死傷者について訂正

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は今月1日、ウクライナ東部の激戦地バフムトとその周辺での去年12月以降のロシア側の死傷者はおよそ10万人にのぼるという見方を示していましたが、ホワイトハウスの当局者は3日、NHKの取材に対し、ウクライナ東部における死傷者の数だったと訂正しました。

10万人のうち死者は2万人以上で、その半数はロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員だとしています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日記者団に対し、「アメリカは正しい死傷者の数についてわかるはずがない。完全にでたらめだ」と反論しています。

ウクライナ 23人死亡のウマニ 花を手向ける人絶えず

先月28日、ロシア軍のミサイル攻撃で子ども6人を含む23人の市民が死亡したウクライナ中部のウマニでは、今も現場を訪れ、花を手向ける人の姿があとを絶ちません。

現場は市の中心部にある集合住宅が建ち並ぶ地区で、地元当局によりますと、ミサイルは9階建ての集合住宅に直撃し、14部屋が完全に壊れたということです。

攻撃から5日がたった3日も、現場では地元の住民などがチューリップの花束やぬいぐるみなどを手向けていました。

花を手向けた男性は「話すのもつらい悲劇です。野蛮な者たちの手によってあまりにも多くの罪のない人たちの命が失われました。標的を間違えたのかもしれないが、それでも平和に眠っていた人たちの所にミサイルが直撃しました。ロシア人によるひどい過ちです」と話していました。

また、攻撃を受けた集合住宅の住民で、無事だった49歳の男性は「亡くなった人たち全員を知っています。つらすぎて感情を失ってしまいました。ロシアは、軍だろうが市民だろうが関係ないのだと思います。人間ではありません」とロシア側の攻撃を強く非難していました。

葬儀続く ひつぎにすがりつく人も

現地では、亡くなった人たちの葬儀が続いていて、3日には、集合住宅の近くの教会で、子ども2人を含む家族5人の葬儀が行われました。

亡くなったのは母親のイリーナ・バルチェンコさんと、10歳の娘アリーナちゃん、それに15歳の息子オレクシーくんなど5人で、遺影とともに5つのひつぎが教会の前に並べられ、地元の人たちなど100人余りが参列しました。

そして、参列者がひとりずつ、ひつぎの上に花を手向けたほか、ひつぎにすがりつきながら声を上げて涙を流し、亡くなった5人に別れを告げている女性もいました。

ロシア軍の攻撃によってウマニでこれだけ多くの市民の犠牲が出るのは初めてで、街全体が悲しみに包まれています。

ロシア西部の州知事「駅近くで爆発 機関車など脱線」

ウクライナと国境を接するロシア西部のブリャンスク州の知事が2日、SNSに「鉄道の駅の近くで正体不明の爆発装置が爆発した。死傷者はでていない。貨物列車の機関車など数両が脱線した」と投稿しました。

また、ロシアの国営通信社は国営のロシア鉄道の話として機関車のほかおよそ20両の車両が脱線したとしたうえで、「鉄道の運行に対し違法な干渉があった」としています。

ブリャンスク州では前日の1日にもウクライナとの国境に近い、ベラルーシ南東部のゴメリから州内につながる路線で貨物列車の脱線が起き、地元の州知事は爆発装置が爆発したと発表していて、当局が捜査を行っています。

プーチン大統領 一方的併合のマリウポリの式典にオンライン出席

ロシア大統領府は2日、去年9月に一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部ドネツク州の要衝マリウポリで路面電車の再開に合わせた式典にプーチン大統領がオンラインで出席したと発表しました。

式典には、地元の親ロシア派の幹部のほか、プーチン大統領の出身地のサンクトペテルブルクの高官も出席し、プーチン大統領は「現在、10キロ以上の路線が稼働しているが、まだ一部にすぎない」と述べ、ロシアが占拠したマリウポリでインフラ整備を進める考えを強調しました。

そのうえで「ロシアの新しい地域を支援する人々に感謝したい。同時にこの地域の人々が通常の生活を取り戻すためにやるべきことが多くある」と述べ、一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4つの州でロシアによる開発を行い、支配の既成事実化を推し進める姿勢を示しました。

プーチン大統領はことし3月、マリウポリを突然訪問してみずから車を運転して市内を視察する様子をアピールしています。

ロシアで今月9日の第2次世界大戦の戦勝記念日が近づく中、掌握した要衝の支配を誇示したいねらいもあるとみられます。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は先月「われわれがマリウポリを解放し侵略者が裁かれる日が来る」と述べ、奪還を目指す姿勢を強調しています。

ロシア ショイグ国防相 兵器の製造を急ぐよう指示

ロシアのショイグ国防相は2日、軍の幹部を集めた会議で「ウクライナでのロシア軍の活動は兵器や軍装備の補充に大きく依存している」と述べ、軍需産業に関わる企業に対し兵器の製造を急ぐよう指示したと明らかにしました。特にミサイルについては短期間で倍増させるよう求めたとしています。

南部ヘルソン州 “市民3人が死亡し5人がけが” 地元当局

ウクライナでは2日、南部ヘルソン州でロシア軍による砲撃を受け地元当局は市民3人が死亡し5人がけがをしたと明らかにしました。また、東部ドネツク州の激戦地バフムトをめぐり、ウクライナ軍の参謀本部は「激しい戦闘が続いているがウクライナ軍は持ちこたえている」と発表しました。

ロシア大統領府報道官 バフムト死傷者数「でたらめだ」

バフムトとその周辺について、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は1日、ロシア側の死傷者は去年12月以降、およそ10万人に上るとの見方を示していますが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日「完全にでたらめだ」と反論しています。