陸自 ヘリ事故 機体を引き揚げ フライトレコーダーも回収

陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄県の宮古島の周辺で消息を絶った事故で、陸上自衛隊は2日、海底から操縦席を含めた機体の胴体部分など主要部を引き揚げたと発表しました。フライトレコーダーも回収したということで、事故原因の究明を進めることにしています。

先月6日、隊員10人が乗った陸上自衛隊のUH60ヘリコプターが宮古島の周辺で消息を絶った事故で、2日昼前、水深106メートルの海底から機体が引き揚げられました。

機体は原形をとどめないほど壊れていて、陸上自衛隊は2日夜
▽操縦席を含めた胴体部分と
▽テールと呼ばれる機体の後方部分
▽燃料タンクなど、
機体の主要部を引き揚げたと発表しました。

機体は海底で損壊した状態で見つかり、主要部の回収はおおむね終わったということで、3日以降、所属部隊がある熊本県の高遊原分屯地に運んで、詳しい調査を行うとしています。

また、フライトレコーダーも回収したということで、事故原因の究明を進めるため、航空機で本土に運んで、数か月かけて民間業者などによる解析を行うものとみられます。

今回の事故では、隊員6人の死亡が確認されていますが、4人の行方はわからないままとなっていて、自衛隊は捜索を続けるとともに、機体の残骸や遺留物の回収も進めることにしています。
一方、陸上自衛隊は2日引き揚げられた機体について、機体に記されていた番号などから消息を絶ったヘリコプターと確認したと発表しましたが、機体番号はまだ確認できておらず、消息を絶ったヘリコプターと確認できていないとして訂正しました。

今回の引き揚げ方法は

防衛省関係者によりますと、ネットは機体をつり上げるために海底に敷かれ、その後、機体をワイヤーでつり上げネットの上に乗せ、ネットで包み込むようにしてクレーンで引き上げることになっています。

事故原因究明の鍵は“フライトレコーダー”

事故原因究明の鍵を握るのが、機体の高度や速度、姿勢などさまざまな飛行データが記録されるフライトレコーダーです。

防衛省によりますと、事故が起きたヘリコプターでは胴体部分の後方に搭載されていて飛行に関するデータや音声を記録できるということですが、記録されるデータや音声の具体的な内容は答えられないとしています。重さはおよそ3キロで、強い衝撃や水深6000メートルの深海の圧力にも耐えられる構造になっているということです。

防衛省関係者によりますと、フライトレコーダーは、すでに回収したということで航空機で本土に移送して、民間業者などによる解析を行うということです。解析には数か月程度かかるということです。

陸上自衛隊 元陸将「相当な衝撃があったか」

元陸将 山口昇さん
陸上自衛隊でヘリコプターのパイロットを務めた元陸将の山口昇さんは、引き揚げられた機体について「これだけバラバラになるということは相当な衝撃があったということだと思う。機体の外につける燃料タンクのようなものが見えるほか、胴体部分の外側や内側の壁『テール』と呼ばれる機体の後方部分も確認できる」と指摘しています。
『テール』と呼ばれる機体の後方部分も
その上で「機体を復元するように並べてみると、破壊に至った時の形が見えてくる。海面に機体のどの部分が当たったのかや、どんな力がかかったのかが見えてくる」と話しています。

また、フライトレコーダーが回収されたことについては「データを取り出せる可能性は高いと思う。原因究明に向けて大きな手がかりになる」と話しています。
今後については、行方不明となっている4人の隊員の捜索が最も優先順位が高いとした上で「事故原因の究明には相当な月日がかかるが、手がかりとなるものがあればできるだけ早く施策にして再発防止を行うことが必要だ」と指摘しています。