米 銀行の経営破綻 預金や業務は「JPモルガン・チェース」に

アメリカの銀行、「ファースト・リパブリック・バンク」が経営破綻しました。アメリカで史上2番目の規模の銀行破綻となりましたが、預金や業務は大手銀行「JPモルガン・チェース」に引き継がれました。

アメリカのFDIC=連邦預金保険公社など金融当局は1日、経営に対する懸念が高まっていたカリフォルニア州に拠点を置く銀行「ファースト・リパブリック・バンク」が経営破綻したことを明らかにしました。

当局が30日までに入札を実施して大手銀行の「JPモルガン・チェース」が最終的に買収することで合意に達しました。

1日朝から店舗では通常どおり営業が始まっています。

JPモルガンは▽1730億ドル、23兆円7000億円余りの貸出債権や▽920億ドル、12兆6000億円余りの預金などを引き取ります。

「ファースト・リパブリック・バンク」は3月に銀行破綻が相次いだ際に預金流出が止まらず、11の大手金融機関から異例の支援策として預金を受け取っていました。

カリフォルニア州の金融当局の資料によりますと、銀行の預金は3月末から先月(4月)28日までの1か月足らずでさらに110億ドル以上、日本円で1兆5000億円以上、流出していました。

アメリカの金融当局は銀行破綻が連鎖するのは何としても防ぎたいとして破綻処理を経てすぐに救済買収する銀行との交渉を行っていました。

金融市場は大手銀行による買収が決まり、預金も引き継がれたことで落ち着きを取り戻していますが短期間に3つの銀行が破綻する異例の事態となり、今後も金融不安が広がらないか警戒が続くことになります。

アメリカの預金者からは…

経営破綻したファースト・リパブリック・バンクのニューヨークの店舗は、5月1日も通常どおり営業していました。

銀行が経営破綻し大手銀行から買収されることについて資金を預けていたという企業経営者の男性は、「銀行について自分はそれほど心配していなかったが妻は心配していた。それでも私は銀行からお金を動かさなかった。私たちが幸運だったこと、このような形になったことをうれしく思う」と話していました。

また、会社の会計担当として資金を預けていたという男性は、「悲しい。私たちは株主に対して責任があるため、預金の残高をFDIC=連邦預金保険公社が保護できるだろう水準まで減らしていた」と話していました。

カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のサンタモニカにあるファースト・リパブリック・バンクの店舗は、5月1日も通常どおりの営業を行っていて、朝から多くの顧客が訪れていました。

顧客からは、「行方を見守っていましたが、預金を引き継ぐJPモルガン・チェースはよい銀行なので、私の預金は安全だと思っています」という声や、「経営破綻には少々驚きましたが、銀行に何かあった時には、連邦政府が私の預金を守ってくれることが わかったのでよかったです」という声が聞かれました。

一方で、「一定以上の数の預金者が自分の預金を引き出したいと思えば、それは銀行の経営を直撃するという状況になる。金融システムに対する人々の信頼が回復することが大事だと思う」と話す人もいました。

米大統領「銀行システムの安全性と健全性は確保」

銀行が経営破綻したことについてバイデン大統領は5月1日、「すべての預金者は保護される。納税者が負担を強いられることはない。金融当局による措置によって銀行システムの安全性と健全性は確保される」と述べ、平静を呼びかけました。