卓球 石川佳純が現役引退発表 五輪3大会出場 3つのメダル獲得

おととしの東京オリンピックの卓球で女子団体の銀メダル獲得に貢献するなど、オリンピックに3大会連続で出場し、銀メダル2つ、銅メダル1つを獲得した石川佳純選手が現役を引退することを発表しました。

石川佳純選手は山口県出身の30歳。卓球選手だった両親の影響で7歳から卓球を始め、育成年代の多くの大会で優勝し注目を集めると、日本代表には当時史上最年少となる14歳で初めて選出され、高校3年生で出場した2011年の全日本選手権女子シングルスで初優勝しました。
ロンドン五輪(2012年)
強烈なフォアハンドのドライブやラリーでの得点力の高さを持ち味に、オリンピックには2012年のロンドン大会に19歳で初出場し、日本卓球史上初のメダルとなる女子団体の銀メダル獲得に貢献すると、2016年のリオデジャネイロ大会でも女子団体で銅メダルを獲得しました。
リオデジャネイロ五輪(2016年)
その後、若手選手の活躍に押されて苦しい時期を過ごしましたが、サーブやレシーブを強化し、リスクを負ってでも積極的に攻める攻撃的なプレースタイルへと変化を遂げました。
東京五輪(2021年)
その結果、おととしの東京オリンピックでは日本選手団の副主将を務めるとともに、女子団体で銀メダルを獲得し、オリンピック3大会で銀メダル2つ、銅メダル1つの成績を残しました。

このほか世界選手権では、2017年に混合ダブルスで日本選手として38年ぶりに金メダルを獲得するなど、世界の舞台で長く活躍しました。
ことしは、1月にシングルスで通算5回優勝している全日本選手権に出場し、優勝した早田ひな選手に準決勝で敗れたほか、4月には世界のトップ選手が集うマカオで行われた国際大会に出場し、東京オリンピックの女子シングルスの金メダリスト、中国の陳夢選手に敗れてベスト16で終わり、これが現役最後の試合となりました。
石川選手は1日午前、自身のSNSなどで「自分の中ではやり切ったという思いが強く、引退を決意した」と現役を引退することを発表しました。

今月18日に記者会見を開いて引退を決めた理由などを説明するとしています。

自身のSNSで引退発表

石川佳純選手 インスタグラム
「私、石川佳純は4月の大会をもちまして現役を引退することを決めました。最後の試合まで、これまでどおりに集中し全力で戦うために事前にお伝えすることができませんでした。ことしに入ってからは大会ごとに『この試合が最後になるかもしれない』と思いながら臨み、今、自分の中ではやりきったという思いが強く、引退を決意した次第です」と現役引退を明らかにしました。

その上で「7歳で卓球を始めた私の現役生活23年間にはたくさんのすばらしい経験がありました。14歳から日本代表として国際大会に参加させていただき長い間、世界のトップレベルで戦ったこと、たくさんの夢をかなえられたことを幸せに思います」と振り返りました。

そして「いつも応援してくださるファンの皆様、ありがとうございました。うれしい時、悔しい時、どんな時も私の気持ちに寄り添い、応援してくださった皆様に感謝しています。私のプレーを見て応援いただいた皆様のあすが少しでも前向きになっているとしたら自分自身こんなにうれしいことはありません」と感謝を伝えた上で「これからまた新しいスタートとなりますが、卓球を通じて学んだチャレンジ精神を忘れずに、いろいろなことに挑戦していきたいと思います」としています。

後援会会長「『長い間ご苦労さま』と伝えたい」

後援会の会長を務める藏成幹也さんは、山口市内で取材に応じ「オリンピックで3回もメダルを獲得して『長い間ご苦労さま』と伝えたい。山口市の象徴のような選手です」と話していました。

石川選手の今後については「ゆっくり休んだあと、後継を育てる立場になって、選手たちがメダルをとれるような指導をしてほしい」と話していました。

平野美宇「石川さんはこれからも私の憧れ」

卓球の石川佳純選手が現役引退を発表したことを受け、おととしの東京オリンピックの女子団体でダブルスを組み、ともに銀メダルを獲得した平野美宇選手は、自身のSNSで「石川さん、長い間お疲れさまでした。石川さんと過ごした時間はとても楽しくて、プライベートでも優しくしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。石川さんはこれからも私の憧れです。まずはゆっくり休んでください」と感謝の気持ちをつづりました。

吉村真晴「ともに世界一になれたことは人生においての宝物」

2017年の世界選手権混合ダブルスで石川選手とペアを組み、この種目で日本勢48年ぶりとなる金メダルを獲得した吉村真晴選手は、自身のSNSで「石川さんには勝つために必要なことや考え方など、言葉では言い表せないほど、多くのことを学びました。今の自分がいるのは石川さんがいたからです。ともに世界一になれたことは人生においての宝物です。本当にありがとうございました。そして、現役生活お疲れ様でした」と感謝とねぎらいのことばをつづりました。

平野早矢香さん「佳純、本当にお疲れさま。」

また、2012年のロンドンオリンピックの女子団体でともに銀メダルを獲得した平野早矢香さんは自身のSNSで「佳純、本当にお疲れさま。言葉がでないわ、早く会いたいわ」とコメントしています。

水谷隼さん「一番の戦友 たくさんの感動をありがとう」

東京オリンピックの混合ダブルスで金メダル、男子団体で銅メダルを獲得し去年現役を引退した水谷隼さんは、自身のSNSで「長い長い現役生活本当にお疲れさまでした。お互い共通することが多く一番の戦友です。まずはゆっくり休んでください。カスミン、卓球界に多大なる貢献、そしてたくさんの感動をありがとう」とコメントしました。

これに対し石川選手は「ありがたいお言葉、嬉しいです。これからもよろしくお願いします」と返信しています。

福原愛さん「一緒に戦えたことは、私の誇り」

ともにロンドンとリオデジャネイロのオリンピックでメダルを獲得した福原愛さんはSNSに投稿し、「佳純が本日、引退を発表しました。事前に言われた時はちょっと涙がでそうでした。私と佳純は14歳の頃から思い出がいっぱいあります。時には最大の戦いのライバル。時には一番かわいい妹。時には最も信頼できるメインメンバー。時には一緒に遊んだり、おしゃべりしたりする最高の友だち。時には私の目標であり、私のあこがれの相手。最も私に大きな力を与えてくれた名選手です。約20年間、彼女と一緒に努力した時間は、私にとっての美しい思い出です。同じ時間を彼女と一緒に戦えたことは、私の誇りです。佳純が与えてくれた感動と力に感謝します。佳純がいなければ、日本チームはここまでのレベルには達しなかったでしょう。佳純が日本チーム全体のレベルを引き上げてくれたのです。多くのファンが、おそらく今日、涙を流しているでしょう。でも、佳純はどんどん良くなって、もっともっと幸せになると思います。皆で彼女の幸せを祝福し、応援しましょう。石川佳純さん、今まで私たちに与えたすべてに感謝します!」とコメントしました。

石川選手の母校 山口市の小学校でも驚きの声

山口市の平川小学校には、卒業生の石川選手がオリンピックに出場するたびに訪れていて、おととしには東京大会の卓球女子団体で獲得した銀メダルを子どもたちに披露しました。

6年生の教室では、担任の先生から石川選手の引退が伝えられると、子どもたちから驚きの声があがりました。

石川選手の父親が指導する卓球教室に通う6年生の女子児童は「石川選手に憧れてお姉ちゃんが卓球を始めたことがきっかけで、自分も卓球をしています。引退を聞き、大好きな選手なので驚きました」と話していました。

石川選手から指導を受けた経験も振り返り「速く球を打つことを教えてもらい、試合で実践できました。負けそうな時も諦めずに立て直すところがすごくて見本にしていたので、これからもがんばってほしいです」と話していました。

また、6年生の男子児童は「辞めると聞いてびっくりしました。尊敬できて誇れる先輩で、銀メダルを見せてもらい自分たちも頑張ろうと思いました。これまで一生懸命プレーしてくれてありがとうございました」と話していました。

地元山口市では引退を惜しむ声や長年の活躍ねぎらう声

山口市の50代の女性は「初めて聞いて驚きました。頑張れそうだと思っていたので残念ですが、ほかの分野でも活躍されると思うので、引き続き応援したいです」と話していました。

広島県在住で山口市に帰省していた30代の女性は「『長い間、お疲れさまでした』という気持ちです。自分のまわりでは石川選手と一緒に卓球をしていた同級生もいたので、親近感がありました。今後どういう人生を歩むか分かりませんが、地元に戻って子どもたちに卓球を教えるような活動をしてほしい」と話していました。