パラグアイ大統領選 与党候補が勝利 台湾との関係維持へ

南米で唯一、台湾と外交関係をもつパラグアイの大統領選挙は与党候補が勝利し、今後も台湾との関係が維持される見通しとなりました。

任期満了に伴うパラグアイの大統領選挙は30日、投票が行われました。

今回の選挙では、台湾との外交関係を維持するかどうかが争点の1つになり
▽右派の与党候補で元財務相のサンティアゴ・ペニャ氏が台湾との関係維持を主張したのに対し
▽中道の野党連合の候補で元下院議長のエフライン・アレグレ氏は農産物の輸出拡大のため、台湾と外交関係を断絶して、新たに中国と国交を結ぶ可能性を示唆してきました。

パラグアイの選挙管理当局の集計によりますと、開票率99%時点での得票率は
▽与党候補のペニャ氏が42.7%
▽中道の野党連合候補のアレグレ氏が27.4%
などとなり、台湾との関係を重視するペニャ氏が勝利しました。

ペニャ氏は首都アスンシオンで支持者を前に演説し「パラグアイ国民は社会の安定と対話、そして融和を求めた。私たちが望むパラグアイを実現する」と述べ、勝利を宣言しました。

パラグアイは、台湾が外交関係をもつ13か国のうちの1つで、南米大陸では唯一、台湾との関係を維持しています。

中南米では、ことし3月、ホンジュラスが台湾と外交関係を断絶するなど、中国と国交を結ぶ国が相次いでいましたが、パラグアイでは台湾との外交関係が維持される見通しとなりました。

ペニャ氏の勝因は若者の支持拡大

ペニャ氏が勝利した背景には、若者を中心に支持が広がったことがあります。

ペニャ氏は44歳で、学生時代、台湾の奨学金で現地の起業家向けの研修に参加した経験があります。パラグアイは人口に占める若者の割合が大きく、若者の支持が選挙の勝敗を大きく左右します。

外交面では、民主主義などの価値観を共有するアメリカ、台湾、イスラエルとの伝統的な友好関係を重視し、関係強化をはかっていくと訴え、支持を集めました。また内政面ではパンデミックで経済が打撃を受けるなか、若者の雇用創出など若者に重点を置いた経済政策を打ち出しました。

ペニャ氏の勝利集会では集まった支持者から「若者の教育や雇用の創出に力を入れてほしい」といった若者を重視した政策に期待する声も多く聞かれました。

台湾外交部「新政権と交流を引き続き深めていく」

台湾外交部は、パラグアイに駐在する大使が直ちに蔡英文総統を代表してペニャ氏に祝意を伝えたと明らかにした上で「民主主義や自由など両国が共有する価値観と伝統的な友好に基づき、パラグアイの新政権との間で協力と交流を引き続き深めていく」というコメントを発表しました。