バンクシーの作品残し破壊された住宅建て替え ウクライナ

ロシア軍による激しい攻撃にさらされたウクライナの首都キーウ近郊では、鋭い社会風刺画で知られる覆面アーティストのバンクシーが手がけた作品を残す形で、被害を受けた公営住宅の建て替え工事が始まっています。

ウクライナの首都キーウ近郊にあるイルピンでは、ロシアによる軍事侵攻が始まった当初、砲撃などの激しい攻撃にさらされ、39棟の集合住宅が破壊されて住めなくなりました。

イルピン市は、被害を受けた公営住宅の建て替え工事を始めていて、28日もショベルカーを使った解体作業が行われていました。

このうち1棟の壁には、首にコルセットを巻きながらも、新体操選手のように華麗にリボンを操る人の姿が描かれています。

この絵は、鋭い社会風刺画で知られる覆面アーティスト、バンクシーが手がけたもので、イルピン市はこの作品を残すため、透明なカバーで絵を覆った上で慎重に作業を進めていました。

被害を受けた公営住宅に住んでいたという女性は「とにかく早く平和になってほしい。バンクシーの作品は、世界が私たちの味方だと示してくれている」と話していました。

また、マルクシン市長は「敵を倒して市民を守ることが先決だが、住民が住み慣れた場所に戻るための準備もしなければならない。バンクシーの作品は町にとってシンボルのようなもので、大切に残していきたい」と話していました。