横溝正史「幻の金田一作品」か 未発表の映画シナリオ見つかる

金田一耕助シリーズで知られる作家・横溝正史が原作を担当した未発表の映画のシナリオが新たに見つかりました。金田一耕助が活躍するストーリーで、専門家は「幻の金田一作品だと考えられる」と話しています。

今回見つかったのは、「石膏美人」という仮のタイトルが付けられた未公開の映画のシナリオで、二松学舎大学が入手した横溝正史の資料の調査で見つかりました。

シナリオは、原作を横溝が、脚本を脚本家の日高繁明が担当したもので、調査した山口直孝教授らによりますと1950年代に書かれたとみられ、同じタイトルの横溝作品とは内容が異なっているということです。

遺産相続をめぐる殺人事件の捜査に乗り出した名探偵 金田一耕助が石膏像に塗り込められた遺体の謎に挑む物語で、これまでの金田一シリーズには含まれていない作品だということです。

横溝正史の作品には「石膏魔」というタイトルの未完成の小説があったことが知られていますが、序盤だけしか残っておらず金田一シリーズの作品かどうかも分かっていませんでした。

今回のシナリオは設定やセリフなどが「石膏魔」と非常によく似ていることから、この小説を原作として書かれた可能性があるということです。

山口教授は「幻の金田一作品と考えられる。『犬神家の一族』などのあとサスペンス要素が強まり、行動的に活躍する金田一耕助が描かれた時期の作品とみられる。小説の続きも残されていないか調査したい」と話していました。