宿泊施設や「着ぐるみアクター」大型連休で人手確保に追われる

29日からの大型連休、ことしは最大で9連休という方もいるかもしれません。旅行に出かける人が増えると見込まれ、宿泊施設では接客などにあたる人手をどう確保するかが課題となっています。

「スキマバイト」で人手確保

仙台市郊外にある温泉旅館では、新型コロナの影響で4年前に100人以上いた従業員が今では80人ほどに減り、管理部門の担当者が接客や清掃も兼ねるなどして対応しています。

ただ、宿泊客の増加に追いつかず、4月からは「スキマバイト」と呼ばれる単発の短時間のアルバイトの募集を始めました。人材サービス会社のアプリを活用していて、すでに80人以上がアルバイトとして働いたということです。

仙台市の大学生、長坂大陽さんも、大学の講義や他のアルバイトと重ならない時間を見つけて旅館で働いていて、3回目のこの日は4時間、客室の布団敷きや食器洗いなどをしていました。

長坂さんは「大学などが忙しいと決まった時間のアルバイトは大変ですが、時間の融通が利くことがメリットだと感じています」と話していました。

旅館では、大型連休中はスキマバイトの募集人数を平日の3倍ほどに増やすことにしています。

「奥州秋保温泉蘭亭」の伊藤正治支配人は「これまでは人手が足りず、従業員の本来業務が後回しになることもありました。『スキマバイト』の導入で、人手不足の解消や、安定したサービスの提供につながったので、今後も続けていきたいです」と話していました。

「着ぐるみアクター」確保に追われる

イベントなどの現場で着ぐるみに入って演技する「着ぐるみアクター」の派遣を専門に行っている都内の事務所には、大型連休期間中のアクターの依頼が相次いでいます。すでに去年や、おととしを上回る35の現場が決まっていて、依頼の数自体は去年の2倍以上に上っているということです。

着ぐるみは15キロ以上あるものもあり、動物や会社のキャラクターなどそれぞれの特徴に応じた動きをするためには、体力や技術が必要です。経験のないアルバイトなどがすぐに対応することは難しく、登録されたアクターの中からやりくりしていますが、ぎりぎりの状態が続いているということです。

事務所では、ホームページで経験のある人材を募集したり、ダンスや演技の指導を行うプログラムを用意してアクターを育成したりすることで依頼先の期待に応えたいと考えています。

着ぐるみ堂の福田澄江さんは「仕事の依頼が一気に増えてみんな待ちに待っていたのが伝わってくる。経験が少ない人を現場に送るのは不安なので技術のあるアクターを増やしていきたい」と話していました。

中国も連休へ “訪日の中国人観光客に期待”

一方中国では29日からメーデーにあわせた5連休が始まります。このところ中国では日本を訪れるための観光ビザの申請が増えていることから、日本の関係者からは中国人観光客の回復に期待する声も上がっています。

中国では厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策が終了し、海外旅行の制限も段階的に緩和されていることから多くの人が海外に旅行すると見込まれています。

中国政府は日本への観光について団体旅行は今も解禁していないほか、個人旅行も観光ビザの申請を制限してきましたが、中国の旅行会社によりますと、地域により旅行会社が徐々に観光ビザの手続きを代行する業務を再開しているということです。

北京にある日本大使館は「個人の観光ビザの申請が、4月に入ってから一定の所得がある人を中心に大きく増えている」としています。

中国の大手オンライン旅行会社のまとめでは連休中の旅行先の人気ランキングで日本が3位に入っています。

日本政府観光局の北京事務所の茶谷晋太郎所長は「感染拡大前の2019年には中国からは個人観光客が7割、団体客が3割を占めていた。中国には3年間、日本に行けなかった個人客の大きな需要がある」と話していました。