「渋滞を止めるのはあなた」渋滞しないための運転術って?

いよいよ大型連休。気になるのが高速道路での「渋滞」です。
でも、渋滞のプロたちに聞くと、私たちの運転次第で渋滞を防ぐことができるそう。

「渋滞は右から始まる」
「渋滞を止めるのはあなた」

渋滞しない運転術、皆さん知っていますか?

(大阪放送局 渋滞取材班 北川玲子・藤島新也)

【ポイント1】「サグ部」で速度を落とさない!

渋滞を生まない運転には4つのポイントがありました。

1つ目は、サグ部で速度を落とさないこと。

サグ部は、下り坂から上り坂にさしかかる時の底の部分、つまり、下り坂から上り坂に変化するポイントのことです。
サグ部は傾斜の変化が緩やかでドライバーが気付きにくいため、知らず知らずのうちに速度が落ちてしまい、後ろの車は車間距離が詰まるためにブレーキを踏みます。

すると、その後ろの車もブレーキを踏み、さらにその後ろの車もブレーキを踏んで…と、ブレーキの連鎖が起きて渋滞が発生してしまいます。

渋滞が発生した場所の実に6割がサグ部だったという調査結果もあります。
渋滞が起きやすい場所には標識が設置されています。

道路脇に「サグ部」や勾配を示す標識がある場合にはスピードが落ちていないかどうか意識することで、渋滞を防ぐことができるといいます。

NEXCO西日本の渋滞予測士・堀部将さんは「サグ部以外ではトンネルの入り口などもスピードが低下しがちで渋滞が発生しやすいので、速度を意識して運転することが大事です」と話していました。

【ポイント2】車間距離をしっかりとる

2つ目は、車間距離をしっかりとること。
車間距離を詰めて走っていると、前の車のちょっとした変化ですぐにブレーキを踏む必要があります。

すると、後ろの車もブレーキを踏み、さらにその後ろの車もブレーキを踏んで…とこれまた連鎖が起きて渋滞が発生してしまいます。

車間距離をしっかりとって余計なブレーキを踏まないことで渋滞を防ぐことができます。

【ポイント3】不必要な車線変更をしない

3つ目は、不必要な車線変更をしないこと。
少しでも早く進みたいと空いているスペースを見つけて走行車線と追い越し車線を行ったり来たりする車がありますが、これは流れを阻害し、渋滞を発生させてしまいます。

渋滞学が専門の関西大学・友枝明保教授は「渋滞は右から始まる」と指摘しています。渋滞の実験を行ったところ、早く進もうと追い越し車線を走る車が増え、混んでいったということです。

【ポイント4】ファスナー合流する

4つ目は、加速車線から本線に合流する時に「ファスナー合流」を意識すること。

本線への合流部では、好きなタイミングで自由に合流するのではなく先頭まで進んで1台ずつ交互に合流するほうが、結果的に渋滞を和らげる効果があるということです。
NEXCO中日本が愛知県の一宮JCT付近で行った検証では、渋滞によって失われる時間はおよそ3割減少したということです。

NEXCO中日本の高速道路ドライブアドバイザー・林修平さんは「加速車線の至るところで合流しようとすると、本線の流れが悪くなって渋滞が悪化します。加速車線を走るドライバーの中には『先頭まで進んで合流するのは悪い気がする』と思う方や、本線を走るドライバーの中には『抜かされた!』と感じる方もいるかもしれませんが、結果的には、ファスナー合流のほうが早いということを知っていただき、お互いに譲り合って合流してほしい」と話していました。

渋滞を止めるのはあなた

ただ、渋滞を生まない運転術を意識していても、すでに発生している渋滞に巻き込まれてしまうケースはあります。

それでもある意識を持つことで渋滞を解消につなげることができると友枝教授は指摘します。
左:北川リポーター 右:友枝教授
それは「車間距離を40メートルあける」こと。

さまざまな実験の結果、車間距離が40メートル以上あくようになると渋滞は解消されるということです。
友枝教授は「車間距離が40メートルより詰まってしまうと、ブレーキの連鎖を後ろの車に伝えてしまうことがわかってきました。道路の白線の長さは8メートル、白線と白線の間の距離は12メートルとなっているので、白線2つ分が40メートルに相当しますから、それを目安にしてみてください」と話していました。

楽しい休みを安全に

毎年のように高速道路では事故が起きています。

せっかくの連休を楽しい思い出にするためにも、渋滞の対策をしっかりとって、安全に十分注意して過ごしてください。