防衛大臣の指揮は海上保安庁長官に対して行われ、一元的な指揮のもと、自衛隊が軍事作戦に集中する一方、海上保安庁は国民保護や海上での人命救助などに最大限の役割を果たすことで迅速に対処できるとしていて、海上保安庁の非軍事性に変更はなく、警察機関として活動するとしています。
政府は今後、武力攻撃事態を想定した共同訓練を早期に実施する方針です。

自衛隊と海上保安庁連携強化へ 有事の際の統制要領を策定 政府
自衛隊と海上保安庁の連携の強化に向けて、政府は、有事の際には閣議決定を経て、海上保安庁を防衛大臣の指揮下に入れることができるなどとした、統制要領を策定し、概要を公表しました。
去年12月に改定された「国家安全保障戦略」には、有事の際に防衛大臣が海上保安庁を指揮する手続きを具体化させ、自衛隊との連携を強化する方針が明記されていて、政府はその手順などを定めた統制要領を策定し、概要を公表しました。
この中では、日本が直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」に認定されて防衛出動が発令された際、通常の協力関係では適切な対処が困難な場合には総理大臣が閣議決定を経て、海上保安庁を防衛大臣の指揮下に入れることができるとしています。

海上保安庁 防衛相の指揮下に入ることで何が変わる
海上保安庁が防衛大臣の指揮下に入ることで何が変わるのか。
防衛省は、有事の際、防衛省・自衛隊は作戦正面に集中する一方、海上保安庁は国民保護措置や海上での人命の保護などで最大限の役割を果たすとしていて、一元的な指揮によって、両者が通常の協力関係以上に迅速・的確な役割分担のもと、事態に対処できる意義があるとしています。
海上保安庁を防衛大臣の指揮下に入れることができるという条文は、自衛隊法が定められた昭和29年当時からありますが、その在り方が明文化されたのは、今回が初めてです。
「統制要領」の策定に至った理由について、防衛省の担当者は「『必要になったときに考えればいい』という発想で長年、積み残されてきたが、日本を取り巻く安全保障環境が、その発想を続けることを許すような状況ではなくなった」と説明しています。
また、防衛省は、防衛大臣の指揮下に入っても、海上保安庁の任務や所掌事務に変更はないとしています。
海上保安庁法25条では「海上保安庁や職員が軍隊として組織され、訓練され、軍隊の機能を営むことを認めるものと解釈してはならない」と定められ、他国の軍隊に対応する役割を担う自衛隊とは一線を画しています。
防衛大臣の指揮下で海上保安庁が実施できることとして、防衛省は住民の避難や救援、船舶の避難支援、捜索救難と人命救助といった項目を挙げていて、海上保安庁があくまで警察機関として活動することは変わらず「自衛隊への編入」や「準軍事化」ではないと説明しています。
防衛省は、有事の際、防衛省・自衛隊は作戦正面に集中する一方、海上保安庁は国民保護措置や海上での人命の保護などで最大限の役割を果たすとしていて、一元的な指揮によって、両者が通常の協力関係以上に迅速・的確な役割分担のもと、事態に対処できる意義があるとしています。
海上保安庁を防衛大臣の指揮下に入れることができるという条文は、自衛隊法が定められた昭和29年当時からありますが、その在り方が明文化されたのは、今回が初めてです。
「統制要領」の策定に至った理由について、防衛省の担当者は「『必要になったときに考えればいい』という発想で長年、積み残されてきたが、日本を取り巻く安全保障環境が、その発想を続けることを許すような状況ではなくなった」と説明しています。
また、防衛省は、防衛大臣の指揮下に入っても、海上保安庁の任務や所掌事務に変更はないとしています。
海上保安庁法25条では「海上保安庁や職員が軍隊として組織され、訓練され、軍隊の機能を営むことを認めるものと解釈してはならない」と定められ、他国の軍隊に対応する役割を担う自衛隊とは一線を画しています。
防衛大臣の指揮下で海上保安庁が実施できることとして、防衛省は住民の避難や救援、船舶の避難支援、捜索救難と人命救助といった項目を挙げていて、海上保安庁があくまで警察機関として活動することは変わらず「自衛隊への編入」や「準軍事化」ではないと説明しています。
「戦闘行われる海域」避けられるか
防衛大臣の指揮下で海上保安庁が活動する海域について、防衛省は、みずからが情報を集め、そのつど判断していくとしています。
海上保安庁は、現に戦闘が行われている海域で活動することは想定していないとしていて、海上保安庁の担当者は「指揮下に入ることで防衛省が収集した情報をもとに活動海域が示されるため、巡視船などが軍事目標にならない状況で活動することができる」と説明しています。
ただ、防衛省関係者からは「戦闘が行われる海域は変化するため、そのつど、エリアを明示するのは簡単ではない」という意見も聞かれます。
そのため、現に戦闘が行われている海域だけでなく、その後、戦闘が行われる可能性があるエリアについても、情報収集や分析を徹底することが重要だという指摘が防衛省関係者から出ています。
海上自衛隊の関係者は「海上保安庁の巡視船の装備では、戦闘が行われている海域で安全に活動するのは難しいだろう。線引きを的確に行うためにも、訓練を重ねていくことが重要になる」と話しています。
海上保安庁は、現に戦闘が行われている海域で活動することは想定していないとしていて、海上保安庁の担当者は「指揮下に入ることで防衛省が収集した情報をもとに活動海域が示されるため、巡視船などが軍事目標にならない状況で活動することができる」と説明しています。
ただ、防衛省関係者からは「戦闘が行われる海域は変化するため、そのつど、エリアを明示するのは簡単ではない」という意見も聞かれます。
そのため、現に戦闘が行われている海域だけでなく、その後、戦闘が行われる可能性があるエリアについても、情報収集や分析を徹底することが重要だという指摘が防衛省関係者から出ています。
海上自衛隊の関係者は「海上保安庁の巡視船の装備では、戦闘が行われている海域で安全に活動するのは難しいだろう。線引きを的確に行うためにも、訓練を重ねていくことが重要になる」と話しています。
海上保安庁前長官「軍事活動しないことを内外に知らしめる必要」
海上保安庁の前長官の奥島高弘さんは、防衛大臣の指揮下に入った際の海上保安庁の活動について「有事、まさに外敵から武力攻撃を受けている状況で自衛隊と海上保安庁がどう役割分担をして、国民の安心安全を守るかということなので、今までとはステージは全然違う」とした一方で、「海上保安庁の任務、所掌事務、権限に変更はなく、海上保安庁法に基づいて避難する国民の輸送など、国民保護的な非軍事活動を行うことになる。あくまでも自衛隊の本来任務となる国防という出動目的を効果的にすることがいちばん大きな目的だと思う」と述べました。
また、防衛大臣の指揮下に入ることで、海上保安庁が軍事目標にされる懸念があることについては、「非軍事と言いながらも、巡視船は武器を持っているので、軍事目標になるかどうかは現段階では判断できない。だからこそ海上保安庁は軍事活動をしないということを内外に知らしめて、軍事目標となる危険性を下げていく必要がある。今後、訓練を通して、統制要領がきちんと機能するのか検証し、不具合があれば、見直していくことが大事だ」と述べました。
また、防衛大臣の指揮下に入ることで、海上保安庁が軍事目標にされる懸念があることについては、「非軍事と言いながらも、巡視船は武器を持っているので、軍事目標になるかどうかは現段階では判断できない。だからこそ海上保安庁は軍事活動をしないということを内外に知らしめて、軍事目標となる危険性を下げていく必要がある。今後、訓練を通して、統制要領がきちんと機能するのか検証し、不具合があれば、見直していくことが大事だ」と述べました。