熱中症対策強化へ 新たに「特別警戒アラート」 避暑施設導入も

厳しい暑さによる熱中症の対策を強化する改正法が成立しました。
特に気温が高くなる日には新たに「熱中症特別警戒アラート」が発表されるほか、自治体はあらかじめ避暑施設として冷房が効いた「クーリングシェルター」とされる施設の導入を進めることになります。
来年の夏からの運用開始に向け、発表の基準や施設の要件などの検討が進められます。

毎年、熱中症で死亡する人が後を絶たない中、対策を強化するために成立した改正法では、暑さ指数の予測値が33以上になった場合に発表されている「熱中症警戒アラート」に加え、さらに気温が上がって深刻な健康被害が予想される場合に、一段上の「熱中症特別警戒アラート」が新たに発表されることになります。

また、自治体は事前に公共施設や民間施設を対象に冷房が効いた部屋を「クーリングシェルター」として指定し、特別警戒アラートが発表された場合には開放することが求められます。

今後、導入が進む避暑施設「クーリングシェルター」

環境省によりますと、すでに全国で125の自治体で取り組みが進められているということです。

このうち、東京・世田谷区では毎年6月から9月まで、公共施設のほか民間の薬局や銭湯、それに接骨院などの250か所程度を避暑施設として開放しています。

「お休み処」という黄色ののぼりが目印で、ことしも6月15日から開放が予定されています。

施設が開いている時間であれば冷房が効いた室内の一角にある休憩スペースを誰でも利用でき、ペットボトルの飲料水を区が無料で提供しています。

世田谷区によりますと、東日本大震災をきっかけに節電と夏の猛暑への対策として12年前から始め、去年はのべ7万5000人が利用したということです。

世田谷区では今回の改正法の成立を受けて、土日や夜間などの幅広い時間帯でさらに多くの住民に対応できるように協力施設を増やしたいとしています。
世田谷保健所健康企画課の長谷川哲夫課長は「熱中症のリスクが高いのは高齢者なので、高齢者が日常生活で比較的多く利用する施設に協力してもらっている。クーリングシェルターは災害級の猛暑の時に命を守る大事な役割になる。開設時間の設定など多くの課題があるが、急いで検討をしていきたい」と話しています。
政府は特別警戒アラートの発表基準や「クーリングシェルター」の要件などについて検討を進めて来年春に改正法を施行し、来年の夏の対策強化に間に合わせる方針です。