新型コロナ新規感染者数 前週の1.15倍 5週連続で増加傾向

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では前の週の1.15倍で5週連続で増加傾向となっています。

NHKは厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

【全国】36都道府県で前週より多い

全国では
▽今月13日までの1週間では前の週の1.10倍
▽今月20日は1.09倍
▽27日まででは1.15倍と5週連続で増加傾向が続いています。

1日あたりの全国の平均の新規感染者数は先週より1300人余り多い1万人余りで
▽富山県で1.49倍
▽北海道で1.41倍
▽岐阜県で1.35倍
▽新潟県で1.33倍などと36の都道府県で前の週より多くなっています。

【富山県】人口あたりの感染者数が最多

人口あたりの感染者数が最も多いのは富山県で、人口10万人あたり100.60人となっています。

新規感染者数を1週間平均で比較すると
▽今月13日までの1週間は前の週の1.11倍
▽今月20日は1.56倍
▽27日まででは1.49倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ149人となっています。

【1都3県】

東京都は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.16倍
▽今月20日は1.08倍
▽27日まででは1.18倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ1421人となっています。

神奈川県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.18倍
▽今月20日は1.03倍
▽27日まででは1.18倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ692人となっています。

埼玉県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.20倍
▽今月20日は1.09倍
▽27日まででは1.26倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ543人となっています。

千葉県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.20倍
▽今月20日は1.08倍
▽27日まででは1.05倍で1日あたりの新規感染者数は433人となっています。

【関西】

大阪府は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.19倍
▽今月20日は1.18倍
▽27日まででは1.15倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ734人となっています。

京都府は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.29倍
▽今月20日は1.30倍
▽27日まででは0.94倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ221人となっています。

兵庫県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.02倍
▽今月20日は1.06倍
▽27日まででは1.19倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ334人となっています。

【東海】

愛知県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.03倍
▽今月20日は1.03倍
▽27日まででは1.13倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ464人となっています。

岐阜県は
▽今月13日までの1週間は前の週の0.96倍
▽今月20日は1.07倍
▽27日まででは1.35倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ204人となっています。

三重県は
▽今月13日までの1週間は前の週の0.94倍
▽今月20日は1.04倍
▽27日まででは1.06倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ101人となっています。

【その他の地域】

北海道は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.05倍
▽今月20日は1.08倍
▽27日まででは1.41倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ728人となっています。

宮城県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.03倍
▽今月20日は1.10倍
▽27日まででは1.22倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ196人となっています。

広島県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.07倍
▽今月20日は0.96倍
▽27日まででは1.16倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ295人となっています。

福岡県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.05倍
▽今月20日は1.14倍
▽27日まででは1.07倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ315人となっています。

沖縄県は
▽今月13日までの1週間は前の週の1.39倍
▽今月20日は1.50倍
▽27日まででは1.29倍で1日あたりの新規感染者数はおよそ201人となっています。

東邦大 舘田教授「水面下で感染者増 連休中も感染対策維持を」

新型コロナウイルス対策にあたる政府分科会のメンバーで東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「全国的にはことし3月末から前の週より多くなる日が続いていて、増え方は穏やかだが、増加傾向が続いている。検査を受けている人も少なくなっていることから報告されている数の何倍もの感染者がいると考えないといけないのではないか。水面下でじわじわと感染者数が増えてきている状況だ」と話しています。

また、今後の感染状況について「大型連休や水際対策の緩和、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの5類への移行など、これまで経験したことのないレベルで緩和が進む中で、今後、感染者が増えるリスクは高まっている」と指摘しました。

その上で、舘田教授は「今も全国では1日に1万人以上の感染者が氷山の一角として報告され、死亡者の数も一時期よりはかなり少なくなってきたが、1日に20人から30人ほどが亡くなっている。感染が拡大すると高齢者や基礎疾患がある人に広がるリスクが高まり、再び、死亡数の増加につながってしまう。大型連休中も基本的な感染対策を維持することが大事で、密な場所や換気が悪い場所では効果的にマスクを使い、何よりも、体調が悪い時は無理して外出や旅行をしない、かぜだと感じたときはコロナかもしれないと用心し自宅で療養するなど、感染に弱い人たちを守る意識を改めて持って欲しい」と話しています。

「さまざまな手法で流行状況を把握すること 大事」

新型コロナの感染状況の把握は、感染症法上の位置づけの5類への移行に伴って指定した医療機関に週1回新規感染者数を報告してもらう「定点把握」に変更されます。

舘田教授は「『全数把握』が毎日行われている今でも検査を受ける人が少なくなり、すでに感染状況の全体像が把握しにくくなっているが『定点把握』となることで、さらに把握が遅れ、不正確なデータとなる可能性がある。さまざまな手法で流行状況を把握することが大事で、例えば、SNS上の情報や医療現場での声、日々の検査の数をリアルタイムで吸い上げて共有できるような仕組みを開発することも有効なのかもしれない。さらに感染力や病原性がより高い変異ウイルスが海外で流行していないか注意を払い、日本に入り込むおそれがあれば従来の全数把握に戻すことも検討する必要があるのではないか」と指摘しました。

また、保健所などが行ってきた入院調整が原則、医療機関の間で行われることについては「すぐに切り換えられる地域とそうでない地域と分かれると考えられ、行政がサポートに入って段階的な移行を目指すことが重要だ。重症化しやすい人工透析を受けている人やがんの患者など基礎疾患がある人、それに高齢者がすぐに入院できない状況が起こらないよう、地域ぐるみで対応を考えていく必要がある」と話しています。