ミャンマーで銃撃され死亡 長井健司さんのカメラ 遺族へ返還

2007年にミャンマーで当時の軍事政権に反対する抗議デモの取材中に銃撃されて亡くなった日本人ジャーナリストの長井健司さんのものとみられるビデオカメラが残されていた映像とともに遺族のもとへ返されました。
(動画はビデオカメラに残されていた映像です)

ジャーナリストの長井健司さんは2007年9月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで当時の軍事政権に抗議する大規模なデモを取材中、治安部隊の銃撃を受けて亡くなりました。

銃撃を受けたとき、長井さんが撮影していたビデオカメラはその後、所在が分からなくなっていましたが、ミャンマーのメディアが長井さんのものとみられるカメラを入手したとして26日、タイの首都バンコクで遺族に返されました。

カメラには5分ほどの映像が残されていて、軍に抗議する市民や僧侶の姿などが映っていました。

また、リポートする長井さん自身の姿や、逃げようとした際に録画されたままになっていた、乱れた映像も記録されています。

カメラを返還したミャンマーのメディアは2年前に起きたクーデター以前にカメラを入手したと説明しましたが、詳しい経緯は関係者の身に危険が及ぶおそれがあるため、明らかにできないとしています。

カメラを受け取った長井さんの妹の小川典子さんはNHKの取材に「兄が自分自身を撮影していることからカメラは本人のものだと思う。返却がかない、兄の気持ちを考えると、ほっとしている。家族で喜びを分かち合いたい」とコメントしました。

小川さんは今後、警察や専門家にカメラの鑑定を依頼するということです。

残されていた映像は(動画あり)

返還された長井さんのものとみられるビデオカメラには、5分ほどの映像が残されていました。

冒頭には、ミャンマーのヤンゴン中心部の通りにバリケードが築かれ、その先で兵士たちが集まる様子とともに、対じするデモの参加者の姿が映っています。
そして、声を上げる市民や僧侶のほかに、空になったペットボトルを両脇に抱え、デモの様子をうかがう裸足の小さな男の子を、およそ25秒にわたり間近から撮影しています。
続いて、複数の軍用トラックが治安部隊の兵士を乗せ、デモの現場に到着する様子が映ったあと、自らにカメラを向けた長井さんが「市民がいる中、重装備した軍隊のトラックが到着しました」と報告する様子が記録されています。
その後、映像は録画したまま地面に向けられて、群衆の中に分け入っていく様子を映し出され、再びカメラを構えて撮影された映像には、治安部隊とデモ隊の間に取り残された裸足の小さな男の子がペットボトルを持ったまま、カメラの方向に向かって走ってくる様子が記録されていました。
そして、映像は録画したまま、集まった人々や地面を映して激しく乱れているところで途切れています。