中国「反スパイ法」改正 対象範囲拡大 取締り強化に懸念

中国で、スパイ行為を取り締まる「反スパイ法」が改正され、国家の安全と利益に関わる情報を盗み取る行為が、新たにスパイ行為の定義に加わるなど対象範囲が拡大されました。中国では日本人がスパイ行為に関わったなどとして拘束されるケースが相次ぎ、取締りのさらなる強化が懸念されています。

中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会で26日、スパイ行為を取り締まる「反スパイ法」の改正案が可決・成立し、7月1日に施行されることになりました。

中国メディアによりますと、この中でスパイ行為の定義について、「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品」を盗み取る行為が新たに取締りの対象になるなど範囲が拡大されました。

また、国家機関や重要な情報インフラへのサイバー攻撃なども、新たにスパイ行為の定義に加えられ、サイバー対策を強化するねらいもあるとみられます。

中国の反スパイ法は、スパイ行為の定義があいまいだとして、国際社会では、法律が恣意的(しいてき)に運用されるおそれがあると指摘されてきました。

9年前に施行されたあと、これまでに少なくとも17人の日本人がスパイ行為に関わったなどとして当局に拘束されていて、今回の法律の改正をきっかけとした取締りのさらなる強化が懸念されています。

松野官房長官 “中国側に説明求め 在留邦人には注意喚起”

中国で「反スパイ法」が改正され、取締りの対象範囲が拡大されたことについて、松野官房長官は、中国側に詳しい説明や法執行・司法プロセスの透明性確保を求めるとともに、在留邦人に対しては注意喚起を行う考えを示しました。

中国でスパイ行為を取り締まる「反スパイ法」が改正され、中国メディアによりますと、スパイ行為の定義について「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品」を盗み取る行為が新たに取締りの対象になるなど、範囲が拡大されました。

これについて松野官房長官は、記者会見で「これまでも中国側に詳細な説明を求めるとともに、法執行や司法プロセスの透明性を求めてきている。同時に在留邦人への注意喚起を行っており、今後も、そうした取り組みを続けていく」と述べました。