【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア外務省「中国側の対応を評価」

中国の国営テレビが26日、習近平国家主席がウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談したと伝えたことについて、ロシア外務省のザハロワ報道官は26日、声明を発表し「われわれは中国側が交渉のプロセスの確立に向けて努力する用意があることを認識している。中国外務省がことし2月24日に示した立場とわれわれのアプローチは広く一致している」として、中国側の対応を評価する姿勢を示しました。

一方で「これまでのところ、キーウの政権はウクライナ危機の政治的かつ外交的な解決を拒否している。ワシントンに支配されている操り人形たちが平和への呼びかけに応じることはほとんどない」として、ゼレンスキー政権を非難しました。

“習主席がゼレンスキー大統領と電話会談” 中国国営メディア

国営の中国中央テレビは日本時間午後8時からのメインニュースの中で、26日午後、習近平国家主席とウクライナのゼレンスキー大統領が電話で会談したと速報で伝えました。

それによりますと、習主席は会談で「中国はウクライナとともに協力を推し進め、できるだけ早い停戦や平和の回復のために努力する」と述べ、中国政府の特別代表をウクライナなど関係国に派遣する考えを示しました。

また「ウクライナの問題で中国は一貫して平和の立場に立つ」として「対話と交渉が唯一の出口だ。核戦争に勝者はいない」と強調しました。

中国中央テレビによりますと、これに対しゼレンスキー大統領は「ともに世界の平和と安定を守るために協力することを望む」と述べ、中国が外交手段を通じて問題の解決に向けて重要な役割を発揮するよう期待を示したとしています。

両首脳による会談はおととし7月以来で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後は、初めてです。

一方、ゼレンスキー大統領は26日、ツイッターに投稿し「習近平国家主席と長く、有意義な電話会談を行った。この電話会談と、ウクライナの中国駐在の大使の任命は両国関係の発展に強い勢いを与えるものと信じている」としています。

ウクライナ軍特殊部隊 司令官 東部バフムト 訪問

ウクライナ軍の特殊部隊の司令官は、ロシアが完全掌握をねらう東部のバフムトを訪問したと、26日SNSで明らかにし、「状況は困難だ。何が必要で、どう行動するべきかわかっているのはあなた方だけだ」と述べ、兵士を激励しました。

戦況を分析するイギリス国防省は26日「バフムトの西側地区で、近距離での激しい戦闘が続いている」とした上で、ウクライナ側は防衛を続け、補給ルートを維持しようとしていると指摘しました。

NYタイムズ「ウクライナ 早ければ来月 反転攻勢」

有力紙ニューヨーク・タイムズは24日付けの電子版でアメリカの当局者の話として、ウクライナ側は、早ければ来月にも反転攻勢を開始するため準備を進めていると伝えました。

またインターネット上に流出したアメリカ政府の機密文書に基づく情報として、あわせて5万人規模となる、12の旅団を今月中に編成し、このうち9つの旅団は、アメリカなどNATO=北大西洋条約機構の加盟国による訓練を受け、弾薬などが供給されているとしています。

そして領土奪還の作戦は、黒海の北に位置するアゾフ海の沿岸など、ウクライナ南部で展開される可能性が高いと伝えています。

ウクライナ東部 歴史博物館が攻撃され2人死亡 10人けが

ウクライナ東部ハルキウ州のクピヤンシクで25日、歴史博物館が攻撃されウクライナ側はこれまでに2人が死亡し、10人がけがをしたとしています。
この攻撃について、ゼレンスキー大統領はSNSに投稿した動画で「テロ国家がわれわれやわれわれの歴史と文化を完全に破壊し、全く野蛮な方法でウクライナ人を殺害している。このような戦争犯罪はすべて確実に法の裁きにかけられるだろう」と非難し、動画には、建物の壁が崩れ落ち、がれきが散乱する様子が映されています。

またハルキウ州のシネグボフ知事は、ロシアの地対空ミサイルシステムS300が使われたと発表しています。

ウクライナ軍 大規模な反転攻勢へ向け作戦か

ウクライナ軍の南部方面司令部の報道官は24日、地元メディアに対して、ヘルソン州で、ロシア側が支配するドニプロ川の東岸にある大砲や戦車、それに防空システムなどを破壊することに成功したとアピールしました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は22日、ドニプロ川の東岸の一角に、ウクライナ軍が陣地を築いた可能性があるという見方を示しています。

報道官はこれに言及せず、東岸の前線でウクライナ軍が活発に活動しているとしながら「任務の遂行には沈黙が必要だ」と述べていて、大規模な反転攻勢に向けて慎重に作戦を進めているものとみられます。

米紙 侵攻1年でウクライナが露攻撃計画も米要請で延期と報じる

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、ウクライナが、軍事侵攻が始まって1年となったことし2月24日に、ロシア国内への大規模な攻撃を準備していたもののアメリカの要請を受けて延期したと報じました。

ワシントン・ポストの電子版は24日、インターネット上に流出したアメリカ政府の機密文書に基づく情報だとした上で、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長がことし2月13日、情報総局の総力を結集して2月24日の大規模攻撃に向けて準備をするよう部下に命じたとしています。

攻撃目標は、ロシアの首都「モスクワ」や、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアにも近く黒海に面した「ノボロシースク」が検討されたとみられるということです。

侵攻開始1年を目前に控えた2月22日にCIA=中央情報局が内部で共有した機密文書では、ウクライナ側は、アメリカの要請を受けてモスクワへの攻撃の延期に応じたと、記載されているということです。

ワシントン・ポストは、事態のエスカレートを避けるためアメリカが、ロシア国内への攻撃を目指すウクライナを制止する状況が顕著に示されていると伝えています。

この記事についてアメリカのブリンケン国務長官は24日の記者会見で「コメントするつもりはない」としたうえで「自国を防衛するために何をするのか決めるのはウクライナの人たちだ」と述べ戦闘に関する決定はあくまでもウクライナが行っていると強調しました。

一方、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は24日「アメリカの著名なメディアによる陰謀めいた報道だ。このような1回かぎりの行動で戦争の流れを変えるというのか、単純に疑問だ」などとSNSに投稿し報道の内容を否定しました。