在留邦人ら45人 ジブチに退避 新たに8人出国 希望の全邦人退避

情勢が悪化しているアフリカのスーダンから在留邦人を退避させるために派遣された自衛隊の輸送機は、スーダン国内の空港で在留邦人など45人を乗せ、周辺国ジブチに退避させました。
また政府は、新たに8人がフランスの協力を受けて出国し、希望していたすべての在留邦人が退避したと明らかにしました。

ジブチに派遣された航空自衛隊のC2輸送機は、日本時間の24日夕方、ジブチの空港を離陸し、スーダン東部の都市、ポートスーダンの空港で在留邦人41人とその家族の外国人4人の合わせて45人を乗せました。

そして、日本時間の25日午前1時すぎ、ジブチの空港に到着し、45人を退避させました。

関係者によりますと、退避した人たちはスーダンの首都ハルツームから、複数のグループに分かれて陸路で空港に移動したということです。

海外に滞在している日本人の自衛隊機による輸送は、今回で6回目です。

ジブチに入った武井外務副大臣によりますと、退避した人たちは疲れた様子ではあるものの、健康状態に大きな問題はなく、それぞれの要望を聴き取ったうえで日本への帰国などに向けて調整を進めるということです。

また政府は、在留邦人とその家族、合わせて8人がフランスの協力を受けて新たに出国し、希望するすべての在留邦人がスーダンから退避したと25日午前、明らかにしました。

武井外務副大臣「退避した人たちの健康状態に問題なし」

日本人らを乗せてスーダン東部の都市、ポートスーダンを出発した航空自衛隊のC2輸送機は、日本時間の25日午前1時10分ごろ、自衛隊の活動拠点があるジブチの国際空港に到着しました。

退避してきた人たちはスーツケースなど大きな荷物を持って長旅をしてきたこともあり、疲れている様子でした。

ジブチで退避してきた人たちを迎えた武井外務副大臣によりますと、スーダンから退避したのは、現地の日本大使館やJICA=日本国際協力機構、それにNGO団体などの関係者や家族だということです。

また、退避した45人のうち、41人は日本人で、外国籍の4人は、日本人の配偶者や子どもだということです。

武井副大臣は記者団に対し「危険かつ大変困難な状況の中、成功裏に邦人退避を遂行することができた。退避した人たちは大変疲れた様子だが、健康状態には問題がないとのことだ。ほっとしている」と述べました。

そのうえで「引き続き、スーダンに残る邦人の早期退避、安全確保及び、必要な支援に全力をあげて対応していく」と述べました。

また、スーダンに駐在する日本の大使が輸送機に同乗していたのかという質問に対し、武井副大臣は「大使が今回の輸送機に乗ってきたというわけではない。大使は別の対応があった」と述べました。

岸田首相「関係者の努力に敬意と感謝」

スーダンからの在留邦人の退避について、岸田総理大臣は、24日午後11時50分ごろ総理大臣公邸で記者団に対し「危険かつ困難な状況の中、成功裏に邦人退避を遂行した大使館や自衛隊をはじめとする関係者の努力に敬意と感謝を申し上げたい。また協力してもらった韓国、UAEをはじめ、関係各国や国連などの関係機関に感謝を申し上げる」と述べました。

退避した日本人らについては、希望に基づいて、日本への帰国などの調整に当たるとともに、必要な支援を行っていくとしています。

退避のNPO法人理事長「一日も早く平和が訪れること願う」

2006年からスーダンで医療や教育などの支援に取り組むNPO法人「ロシナンテス」の川原尚行理事長が、退避先のジブチからNHKのオンラインインタビューに応じました。

川原さんは「自衛隊の飛行機に乗ってジブチに到着した。45人の命が守られたということで、自衛隊や外務省、そしてJICAなどの皆さんには大変お世話になった。感謝を申し上げたい」と話し、速やかに日本に帰国したい考えを示しました。

また、スーダン情勢について「私が20年以上関わってきた国で国民が悲しむ姿を見ると涙が出てくる。スーダンに一日も早く平和が訪れることを願っている」と話していました。