【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

東部ハルキウ州の博物館で攻撃 1人死亡10人けが

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、SNSに動画を投稿し、東部ハルキウ州のクピヤンシクで歴史博物館が攻撃され、これまでに職員1人が死亡し、10人がけがをしたと明らかにしました。

その上で「テロ国家が我々や、我々の歴史と文化を完全に破壊し、まったく野蛮な方法でウクライナ人を殺害している。このような戦争犯罪はすべて確実に法の裁きにかけられるだろう」と非難しています。

動画には、建物の壁が崩れ落ち、がれきが散乱する様子が映されています。この攻撃について、ハルキウ州のシネグボフ知事は、ロシアの地対空ミサイルシステムS300が使われたと発表しています。

国連安保理出席のラブロフ外相 欧米各国と非難の応酬

国連安保理の今月の議長国ロシアは24日「国連憲章の擁護を通じた多国間主義」をテーマに公開討論を主催し、ニューヨークを訪問中のラブロフ外相が議長を務めました。

はじめにグテーレス事務総長が「国連憲章と国際法に違反したロシアによるウクライナ侵攻は市民に甚大な苦痛と荒廃をもたらした」と述べてロシアを非難した上で、外交手段を通じた平和的な解決を改めて各国に呼びかけました。

このあとラブロフ外相は「世界は冷戦期と同じか、より危険な状況だ。ワシントンとその同盟国が外交を放棄して戦場で関係を明確にすることを求め、多国間主義への信頼が失われ状況は悪化している」などと述べ、国連を中心とした多国間主義システムを欧米各国が弱体化させていると主張しました。

これに対し、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「偽善に満ちたこの会合を開いたロシアこそ、ウクライナに侵攻し、国連憲章とわれわれが重視するすべての価値観の根幹を打ち砕いた」と非難しました。

また、日本の石兼国連大使も「拒否権の行使で安保理をまひさせ、信用を傷つけている」と述べ、双方による非難の応酬となりました。

ウクライナ国防省 東部の状況「依然緊迫している」

ウクライナ国防省は24日、東部ドネツク州の激戦地バフムトの状況について、前線で指揮を執る陸軍の司令官の話として「ロシア側が街全体を破壊し尽くそうと攻撃を繰り返し、情勢は依然として緊迫している」と発表しました。

そのうえで、ウクライナ軍は徹底抗戦して戦線の拡大を防いでいるうえ、ロシア軍が戦力を集中させているリマンでも防衛線を突破させず、ロシア側が部隊の再編成を余儀なくされるほど損失を与えていると強調しました。

一方、ウクライナ軍の参謀本部は24日、ロシア側がウクライナ南部の支配地域を守る作戦を続けていると指摘しました。

ウクライナの情報機関「ロシアは防御に切り替えている」

ウクライナ国防省の情報機関、情報総局のブダノフ局長は、24日にウクライナメディアが伝えたインタビューで「敵はあらゆる場所で、支配した陣地の防御に切り替えている」と述べました。

また、ロシアが動員によって招集した兵士のうち、およそ12万人は、まだ前線に投入されておらずロシア領内にいるほか、ウクライナ軍が新たに編成する部隊を攻撃するためミサイルを蓄積していると分析し、なお警戒が必要だという認識を示しました。

そのうえで、欧米の軍事支援の強化に期待を示しながら「今あるもので作戦を進めていく」として、南部クリミアを含めたすべての領土を奪還するため、近く反転攻勢に乗り出す構えを改めて示しました。

ウクライナ 南部で反転攻勢の足がかりの1つか

ウクライナ南部では22日、ロシア側が占拠するザポリージャ州の主要都市メリトポリの鉄道施設で爆発が起きたと伝えられています。

また、ロシアが一方的に併合したクリミアについて、ロシア国防省の報道官は24日「ウクライナ側が午前3時半頃、セバストポリの黒海艦隊の基地を3隻の無人高速艇で攻撃しようとした。これを全て破壊し、われわれに損失はなかった」と発表しました。

南部のヘルソン州をめぐっても、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシアが支配するドニプロ川の東岸の一角に、ウクライナ軍が陣地を築いた可能性があると分析していて、今後の反転攻勢の足がかりの1つとなるのか関心を集めています。

こうした動きに対して、ロシア側は警戒を強めているとみられ、ウクライナ軍の参謀本部は24日「敵はザポリージャ州とヘルソン州の方面で防衛作戦を続けている」と指摘しているほか、イギリス国防省は今月12日、ザポリージャ州でロシア側はおよそ120キロにわたって3重にもなる大規模な防衛線を築いていると分析しています。

“ロシア大統領府 報道官の長男が従軍” ワグネル代表

ウクライナへの侵攻を続けるロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏は、ロシア大統領府のペスコフ報道官の長男で33歳となるニコライ・ペスコフ氏が、ワグネルの部隊の砲兵として、従軍していたとSNSへの投稿などで明らかにしました。

また、ニコライ氏も、地元新聞の22日付けの電子版に掲載されたインタビュー記事で「自分の義務だと考えた。傍観者として友人たちが戦地に行くのを見ているわけにはいかなかった」などと説明するとともに大統領府の報道官の息子であることから、偽名を使って半年にわたり従軍したとし、勲章も授与されたと主張しています。

これについて、父のペスコフ報道官も24日、記者団に対し「息子は特別軍事作戦に参加した」としています。

ニコライ氏をめぐっては、去年9月、プーチン政権が予備役の動員を発表して混乱が広がる中、招集を拒否したように受け止められる本人の動画が物議を醸し、ペスコフ報道官も弁明する事態となりました。

それだけに今回、半年にわたり従軍したとするニコライ氏の主張についてもその真偽を含めて関心が集まっています。