“北朝鮮 軍事偵察衛星 打ち上げ方針”受け 自衛隊に準備命令

北朝鮮が軍事偵察衛星の打ち上げに向けて最終準備を急ぐとしている中、浜田防衛大臣は一部が日本国内に落下する場合に備え、自衛隊に対し、迎撃ミサイルの部隊を沖縄などに展開するため、弾道ミサイルなどに対する破壊措置の準備命令を出しました。

北朝鮮は初の軍事偵察衛星が完成したとして打ち上げに向けて最終準備を急ぐ方針を明らかにしています。

これを受けて、浜田防衛大臣は、22日、一部が日本国内に落下する場合に備え、自衛隊に対し、弾道ミサイルなどに対する破壊措置の準備命令を出しました。

具体的には、航空自衛隊に対して、沖縄県内に地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の部隊を展開することや、海上自衛隊に対して、高性能レーダーを持ち、迎撃ミサイルを搭載するイージス艦を展開すること、陸上自衛隊に対して、沖縄県内で落下物などがあった場合に備えて被害を最小限にするための部隊を展開することなどを命じています。

北朝鮮が「人工衛星の打ち上げ」と称して事実上の長距離弾道ミサイルを発射すれば、2016年2月以来で、北朝鮮に対し弾道ミサイル技術を使った発射を禁じた国連安全保障理事会の決議に違反することになります。

沖縄にPAC3展開へ

北朝鮮は軍事偵察衛星の打ち上げ日時やコースを明らかにしていないものの、2012年と2016年に「人工衛星」と称して事実上の弾道ミサイルを発射した際には、沖縄県の先島諸島付近の上空を通過していることから、自衛隊は今回も沖縄県に「PAC3」を展開させることにしています。

防衛省関係者によりますと、沖縄県内にある陸上自衛隊の駐屯地や航空自衛隊の基地などを候補地とする方向で調整しているということです。

PAC3の部隊はミサイルの発射機のほか、目標を捕捉するレーダーや電源車などで構成され、部隊を運ぶための手段についても調整を進めることにしています。また、海上では弾道ミサイルを探知して迎撃することができる海上自衛隊のイージス艦が備えることにしています。

このほか、弾道ミサイルなどが落下した場合に必要な対応がとれるよう、沖縄県に陸上自衛隊の部隊を展開することも含めて準備するとしています。自衛隊は、北朝鮮が2012年と2016年に「人工衛星」の打ち上げと称して事実上の弾道ミサイルを発射した際にも、「PAC3」を沖縄本島と宮古島や石垣島、それに首都圏に展開させていますが、いずれも迎撃ミサイルは発射していません。