スーダン “妊婦22万人 危険な状態” 首都の病院閉鎖で 国連

軍とその傘下にある準軍事組織との間で戦闘が続くアフリカのスーダンでは、21日、3日間の停戦に合意したと双方が発表しましたが、実際に戦闘が収まるかは不透明な情勢です。各国では、自国民の退避に向けた動きが相次いでいます。

スーダンでは、おととしクーデターで実権を握った軍と軍の傘下にある準軍事組織のRSF=即応支援部隊との間で今月15日以降、激しい戦闘が続いていて、WHO=世界保健機関によりますと、21日の段階で413人が死亡し、3500人以上がけがをしているということです。

軍とRSFは21日、3日間の停戦に合意したと発表しましたが、実際に戦闘が収まるかは不透明な情勢です。

こうした中、スーダンにいる日本人の退避に備えて航空自衛隊の輸送機3機が周辺国ジブチに向かっています。

欧米各国でも、自国民の退避に向けた動きが相次いでいて、アメリカ国防総省は、スーダンにいるアメリカ大使館の職員が退避する場合に備えてこの地域の周辺にアメリカ軍の追加の部隊を配置しているとしています。

ヨーロッパでは、スペインが21日、軍の航空機で自国民60人や、ヨーロッパ各国などの国民、あわせて20人を避難させる計画があると明らかにしたほか、フランスのメディアは、フランス政府が空軍の輸送機を今月19日にジブチに派遣し、待機させていると伝えています。

ロイター通信は、RSFが21日、外国人が退避できるようすべての空港を部分的に開放する準備があると発表したと伝えました。

ただ、軍側からは発表がない上にRSFが実際にどの程度、空港を掌握しているかはっきりしないとも伝え、実際に開放されるのかは現時点で不透明です。

国連 “妊婦約22万人が危険な状態”

UNFPA=国連人口基金は20日、緊迫した情勢が続くスーダンで、首都ハルツームにいる推計21万9000人の妊婦が、出産時や出産の前後で十分なケアを受けられない危険な状態にさらされていると発表しました。

このうち2万4000人は、今後数週間以内に出産を控えているとみられるとしています。

戦闘の影響でハルツームでは、少なくとも20の病院が閉鎖を余儀なくされ、稼働している国内の12の病院も停電や断水、人員不足によって閉鎖に追い込まれる可能性があるとしています。

また、病院には人道支援も行き届かず重要な医療物資が不足しているということです。

UNFPAは「戦闘がやまなければ、医療システムが崩壊し、妊婦や胎児が死に至る危険性がある」と警鐘をならしています。

国連機関への襲撃相次ぐ

スーダンでは、人道支援にあたってきた国連機関の事務所への襲撃も相次いでいます。

OCHA(オチャ)=国連人道問題調整事務所のトップを務めるグリフィス国連事務次長は、18日、SNSの投稿で「人道支援に関わる職員や施設が相次いで標的にされ、襲撃や性的暴行の報告を受けている。きのうも南ダルフール州にあるOCHAの事務所で略奪があった。許しがたい行為で、やめるべきだ」と非難しました。

スーダンでは、WFP=世界食糧計画が、職員3人が死亡したことを受け活動を見合わせているほか、IOM=国際移住機関の男性職員も銃撃戦に巻き込まれて死亡しています。