【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシアに新部隊 ウクライナの反転攻勢に備えてか

イギリス国防省は20日に発表した分析で、プーチン大統領がヘルソン州を訪問した際、ロシア語で「ドニエプル」部隊とする新たな部隊が紹介されたと指摘しました。

イギリス国防省はこの部隊について、南部のロシア側の支配地域、特にドニプロ川の沿岸を防衛し、ウクライナ軍の反転攻勢に備える任務が与えられているという見方を示しています。

ウクライナ軍の参謀本部は20日の発表で「敵は南部のザポリージャ州とヘルソン州の方面で防衛作戦を続けている」と指摘し、ロシア側は、東部で侵攻を続ける一方、南部では支配地域の防衛に重点を置いていることがうかがえます。

NATO高官「ストルテンベルグ事務総長がウクライナ訪問」

NATO=北大西洋条約機構の高官は20日、NHKの取材に対し、ストルテンベルグ事務総長がウクライナを訪問していると明らかにしました。

またNATOの報道官も首都キーウにいる事務総長の写真をツイッターに投稿しました。

去年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、ストルテンベルグ事務総長がウクライナを訪れるのは今回が初めてです。

EU“ウクライナ産農産物 輸入禁止適切でない” 農家の支援検討

ポーランドなどが、アフリカなどへ運ばれるはずのウクライナ産の農産物が国内で流通し農家が打撃を受けているとしてウクライナからの輸入を禁止したことを受けて、EU=ヨーロッパ連合は、個別の輸入禁止は適切ではないとしたうえで、農家への支援策などを検討していることを明らかにしました。

EUは、ロシアによる軍事侵攻で黒海の港から輸出できなくなったウクライナ産の農産物について、域内の港から輸出できるよう支援してきました。

しかしポーランドやハンガリーなどEUの一部の加盟国は、アフリカなどへ運ばれるはずの農産物が国内で流通して農家が打撃を受けているとして、今月、ウクライナ産の農産物の輸入を相次いで禁止しました。

こうした中、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は19日、EUとしての対応を求めていたポーランドやハンガリーなど5か国に書簡を送って懸念に理解を示しつつも、各国が個別に輸入禁止を行うことは適切ではないという考えを示しました。

そのうえでヨーロッパ委員会は、5か国に対して農家の損失を補償するために1億ユーロ、日本円で140億円余りの支援策などを検討していることを明らかにしました。

EUとしては、一部の加盟国の不満によってウクライナへの支援に影響が出るのを防ぎたい考えです。

米 “ウクライナに435億円相当の新たな軍事支援”

アメリカ国防総省は19日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し最大3億2500万ドル、日本円にしておよそ435億円相当の新たな軍事支援を行うと発表しました。

今回の支援では高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾やりゅう弾砲の砲弾、それに兵士が持ち運べる対戦車砲などを供与するとしています。

国防総省によりますと、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカの軍事支援は総額で354億ドル、日本円にして4兆7000億円以上にのぼるということです。

アメリカは今月21日にドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で欧米などの各国がウクライナへの軍事支援について話し合う会合を開く予定で、継続的な支援に向けて足並みをそろえたい考えです。

ゼレンスキー大統領 連日 地方訪問 結束を強調か

ウクライナ大統領府は、ゼレンスキー大統領が19日、ベラルーシとポーランドに隣接する北西部の地域を訪れたと発表しました。

ウクライナは、ロシアと同盟関係にあるベラルーシが軍事侵攻に直接加わるのではと警戒を続けていて、ゼレンスキー大統領はベラルーシとの国境地帯で、敵の侵入を防ぐ設備や無人機の検知システムなど警備強化の状況を視察したということです。

ゼレンスキー大統領は18日に東部の激戦地を訪問して軍の部隊を激励するなど連日地方を訪れ、大規模な反転攻勢に向けて結束を強調するねらいがあるとみられます。

ウクライナ国防第1次官「防空能力 著しく高めた」

ウクライナでロシア軍のミサイル攻撃などに対する防空能力の強化が課題となる中、ウクライナのパウリュク国防第1次官は19日、アメリカ、オランダ、ドイツから地対空ミサイルシステム「パトリオット」が到着したとSNSで明らかにしました。

そのうえで「パトリオットはロシアの巡航ミサイルや無人機による攻撃を防ぐことができ、防空能力を著しく高めてくれたことに感謝する」としています。

また地元メディアによりますと、ウクライナ空軍のイグナト報道官はパトリオットについて、「射程が150キロと長く、ロシア軍の戦闘機を国境から遠ざけることができる」と期待を示しました。

ウクライナ国防相 “米独など供与の「パトリオット」 到着”

ウクライナのレズニコフ国防相はアメリカやドイツなどが供与を決めている地対空ミサイルシステム「パトリオット」がウクライナに到着したと19日、明らかにしました。

レズニコフ国防相はツイッターに「きょう、私たちの美しいウクライナの空はより安全になった。われわれのパートナーは約束を守った」と投稿し各国に謝意を示しました。

ロシア国防省「極東で地対艦ミサイルシステム使った演習実施」

ロシア国防省は19日、「極東のカムチャツカ半島とクリル諸島で地対艦ミサイルシステムを使った演習を行った」と発表しました。

ロシア軍は今月14日から極東の太平洋艦隊が大規模な演習を行っていて、19日は、8機の爆撃機ツポレフ22M3がオホーツク海と日本海北部を飛行したと発表しました。

さらに、ロシアの通信社などは国防省の話として「カムチャツカ半島とクリル諸島で地対艦ミサイルシステムを使い敵を撃退する想定で訓練を行った」としています。

ロシア軍は7年前(2016年)、北方領土の択捉島と国後島に地対艦ミサイルシステムを配備しています。

国防省は、北方領土でも「敵の上陸を阻止する想定で訓練を実施する」としていて、日本側によりますと今月22日までの一部の時間帯に、択捉島周辺の海域で、ロシア軍がミサイルの射撃訓練を実施するということです。

ただロシア側は19日の演習場所に北方領土が含まれているかは明らかにしていません。