池袋暴走事故4年 遺族が現場を訪れて黙とう

東京 池袋で高齢ドライバーの車が暴走し、母親と幼い娘が死亡した事故から19日で4年です。遺族が現場を訪れ、亡くなった2人を悼むとともに「交通事故のない社会になってほしい」と訴えました。

4年前の4月19日、東京 池袋で高齢ドライバーが運転する車が暴走して歩行者などを次々にはね、自転車に乗っていた松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)が死亡したほか、9人が重軽傷を負いました。

事故から4年となる19日、亡くなった真菜さんの夫の松永拓也さん(36)と父親の上原義教さん(65)が現場近くの公園に設けられた慰霊碑を訪れ、事故が発生した時刻に合わせ黙とうをささげました。

松永さんは「真菜と出会い、莉子が生まれたときの感動、事故のあと過ごした4年間の日々を思い出して悲しくつらい気持ちになりました。ただ同時に、心配かけないように生きていかねばならないと思いました」と話しました。

そのうえで「2人の命は私にとって本当に大切で、かけがえのないものでした。この世に生きるすべての人の命が同じように尊いものなので、交通ルールを守り、お互いの大切な命を守り合うような、愛のある運転をしてほしいです」と事故防止を訴えました。

また、上原さんは「時間がたてばたつほど苦しみも悲しみも、会いたいという思いも増してきて、何年たってもこの気持ちは変わらないと思います。同じような苦しみや悲しみを抱えている方もいると思うので、一人ひとりが『きょうも安全に運転しよう』という気持ちを抱き、交通事故のない社会になってほしいです」と話していました。

慰霊碑には多くの人が献花に

母親と幼い子どもの命が失われたこの事故は、高齢ドライバーの問題が改めて注目されるきっかけにもなりました。

事故から4年の19日、現場近くの公園に設けられた慰霊碑には午前中から多くの人が訪れ、花を手向けたり手を合わせたりする姿が見られました。

訪れた40代の男性は「少しでも被害者が安らかに眠ってくれたらと思って来ました。まったくの他人でもかわいそうな事故だと思うし、お花がたくさんあるのをみて同じように思っている人がいるのだと感じました。ひと事と思わず一人ひとりが交通事故はダメだという意識を持つことが重要だと思います」と話していました。

また、最近、運転免許を返納したという70代の男性は「ふだん仕事でこの近くを行き来するので、事故当日もこの場所に来ていました。あまりの惨事にかわいそうでいたたまれず、私自身も孫がいるのでなんともいえない気持ちになりました。交通事故防止や亡くなった2人への供養だと思って免許を返納しました」と話していました。