プーチン大統領 ウクライナ南部と東部を訪問 地域支配を誇示か

ロシアのプーチン大統領は、一方的に併合したウクライナ南部のヘルソン州や東部のルハンシク州を軍事侵攻後初めて訪問しました。
侵攻を続ける姿勢を示すとともに、ロシア側が掌握する地域の支配を誇示するねらいもあるとみられます。

ロシア大統領府は18日、プーチン大統領が去年9月、一方的に併合したウクライナ南部ヘルソン州を訪問したと発表しました。

プーチン大統領は、軍の作戦司令部でヘルソン州と南部ザポリージャ州の戦況について報告を受けました。

この中では、精鋭の空てい部隊のテプリンスキー司令官の功績をたたえ、プーチン大統領が空てい部隊の役割を重視していることがうかがえます。

またプーチン大統領は、一方的に併合した東部ルハンシク州も訪れ、兵士を激励しました。

国営通信社によりますと、プーチン大統領がヘルソン州やルハンシク州を訪問するのは、ウクライナへの軍事侵攻後、初めてだということです。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、大統領の訪問はいずれも前日の17日に行われたと明らかにしました。

プーチン大統領は、3月も一方的に併合した南部クリミアと東部ドネツク州の要衝マリウポリを訪問し、ウクライナ政府は強く反発しています。

欧米からの軍事支援を受けるウクライナ側が、ロシアに占領された地域の奪還を目指すなかで、プーチン大統領としては、兵士たちを激励するなどして侵攻を続ける姿勢を示すとともに、ロシア側が掌握する地域の支配を誇示するねらいもあるとみられます。

ロシア外相 中南米各国との関係強化しG7に対抗か

ロシアのラブロフ外相は、中南米各国を歴訪し、17日、最初の訪問国ブラジルで、ビエイラ外相やルーラ大統領と会談しました。

外相会談後の記者会見で、ラブロフ外相は経済やエネルギー面などで協力していくと強調し、新興5か国=BRICSを構成するブラジルとの連携を打ち出しました。

また、ルーラ大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻の停戦に向けた仲介に意欲を示していることをめぐり、ラブロフ外相は「ブラジルの友人たちは現在の状況の原因を正しく理解し、解決に貢献したいと願っていて、感謝する」と述べ、ブラジルが欧米とは一線を画した立場を示していると謝意を示しました。

一方、欧米側がロシアへの制裁を強化する中、ビエイラ外相は会見で「一方的な制裁は、特に途上国にとって悪影響となる」と述べました。

ラブロフ外相はこの後、ベネズエラやキューバ、ニカラグアも訪問する予定で、その後、今月議長国を務めるニューヨークの国連安全保障理事会の会合に出席する考えを示しています。

G7=主要7か国の外相会合がウクライナへの支援継続を確認し、ロシアに対してすべての軍を即時かつ無条件で撤退させるよう求めていくことで一致する中、ロシアとしては、友好関係にある国々との関係を強化し、対抗したい思惑があるとみられます。

ロシアと中国の国防相が会談 “軍事協力拡大”強調

ロシアのショイグ国防相はモスクワを訪問している中国の李尚福国防相と18日、会談しました。

この中で、ショイグ国防相は「われわれの協調的な取り組みが国際情勢を安定させ、紛争の可能性を減らすことに役立っている。ロシアと中国の軍事協力は拡大していくと確信している」と強調しました。

これに対し、ロシアの国営通信社によりますと、李国防相は「中国とロシアの関係が高いレベルで発展し、戦略的協力を強化する決意を世界に示すため、就任後初めての外国としてロシアを訪問した」と述べたということです。

プーチン大統領も今月16日にクレムリンで李国防相と会談して軍事面での連携が深まっていると強調していて、李国防相は、17日にはモスクワのロシア軍の学校の視察を行っています。

G7=主要7か国の外相会合で、中国の力や威圧による一方的な現状変更の試みを強く反対したり、ウクライナに侵攻するロシアを非難したりするメッセージが打ち出される中、両国は結束を誇示し、対抗する姿勢を示すねらいがあるとみられます。

一方、ウクライナ情勢を巡り、ロシア軍が兵器不足に直面する中、欧米やウクライナは中国がロシアへの兵器の供与などに踏み切らないか警戒を強めています。