海保小型機が不時着 直前に「エンジンの出力があがらない」

18日午前、北九州空港を出発して訓練飛行中だった海上保安庁の小型機が大分県宇佐市の畑に不時着し、乗っていた教官と研修生の2人が軽いけがをしました。直前には「エンジンの出力があがらない」などと、無線で連絡があったということで、海上保安本部は詳しい状況を調べています。

第7管区海上保安本部によりますと、18日午前10時すぎ、海上保安庁の小型機が大分県宇佐市の畑に不時着しました。

小型機は、海上保安学校北九州航空研修センターのプロペラ機で、午前9時15分ごろ北九州空港を離陸して、訓練飛行中だったということです。

小型機には、40代の男性の教官と20代の男性の研修生の2人が乗っていて、病院に搬送されましたが、いずれもけがは軽いということです。

小型機は、宇佐市上空でエンジンの出力を100%まで上げるなどして、操縦感覚を養う訓練を行っていて、訓練中は研修生が操縦していましたが、トラブルが起きたあとは教官が操縦していたということです。
不時着する直前には、教官が「エンジンの出力があがらない。緊急着陸する」などと無線で連絡をしていたということで、海上保安本部は詳しい状況を調べています。

一方、国の運輸安全委員会は「航空事故」にあたるとして航空事故調査官を派遣し、原因を詳しく調べることにしています。

国交省に提出した計画 “宇佐市など経由後 北九州空港に戻る”

国土交通省によりますと、大分県に不時着した海上保安庁の小型機は、18日午前9時19分に北九州空港を離陸したということです。

国土交通省に提出した計画では、2人が搭乗し、大分県の宇佐市や豊後高田市を経由したあと1時間25分飛行し、北九州空港に戻る予定になっていました。

目視で周囲の状況を確認しながら飛ぶ「有視界飛行」で、目的は「訓練」だったということです。

北九州空港 NHKカメラで飛び立つ様子が確認

北九州空港にNHKが設置したカメラの映像では、午前9時19分に航空機が滑走路を飛び立つ様子が確認できます。

不時着現場は

現場は大分県北部の宇佐市松崎です。

小型機が不時着したのは麦畑の一角で、数百メートル離れたところには、住宅地があるほか、小学校やJR日豊本線の線路があります。

飛行開始から43分後 宇佐市内で航跡止まる

航空機が発信する情報をもとに飛行コースなどを公開している民間のホームページ「フライトレーダー24」によりますと、不時着した小型機は18日午前9時19分ごろ、北九州空港を離陸したあと南東の方向に飛行し、およそ15分後には大分県宇佐市の上空を飛行しています。

宇佐市の沿岸部付近を何度か旋回したあと北東に向かい、国東半島の途中、豊後高田市の上空で折り返します。

そのおよそ10分後、宇佐市の上空に戻り、何度か旋回しましたが飛行開始から43分後の午前10時2分ごろ、宇佐市内で航跡が止まっていました。

地元の住民「ずっと旋回している機体があった」

地元の男性はNHKの取材に対し、「飛行機が好きなのでアプリのフライトレーダーを見ていたところ、ずっと旋回している機体があったのでおかしいなと思って現場に来たらこの状況でした。まさかこうなっているとは思いませんでした」と話していました。

現場付近の男性「飛行機がひっくり返っていた」

小型機が不時着した場所の近くで農作業をしていた30代の男性は「警察や消防の車が集まっていたので、何事かと行ってみたら飛行機がひっくり返っていました。飛行機からオレンジ色の服を着た人が2人降りてきて、自力で歩いて救急車に乗っていきました」と話していました。

神戸航空交通管制部 “不時着の2分前に救難信号を確認”

当時、小型機が飛行していた空域を管轄する国土交通省の神戸航空交通管制部によりますと、不時着する2分前の午前10時ごろ、小型機から救難信号が発信されたのを確認したということです。

現場近くの住民「飛行機が低く飛んでいたのを見た」

現場近くに住む70代の女性は、「午前10時ごろに出かけようと家を出たら、ちょうど農地の上を飛行機が低く飛んでいたのを見た。普通ではない高さだったので、大丈夫なんだろうかと思った。大きな音や変わった音はしていなかったので、まさか、こうなるとは思わなかった。近くで起きて正直、怖い」と話していました。

別の空域でも同様の訓練を予定

不時着した小型機が北九州空港を離陸した数分後、航空研修センターの別の小型機も空港を離陸し、大分県の別の空域で同様の訓練を行う予定にしていました。

しかし、不時着の情報を受けたことから、現場近くの上空を飛行して状況を確認したということです。