【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを詳しくお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナメディア “南部でミサイル攻撃 教会破壊される”

ウクライナ軍の参謀本部は17日、東部ドネツク州の激戦地バフムトやマリインカが戦闘の中心にあると発表したうえで「敵を撃退している」と強調し激しい攻防が続いているとみられます。

また、ウクライナのメディアによりますと、南部ザポリージャ州では16日、ロシアによる地対空ミサイルシステムS300での攻撃で教会が破壊されたということです。

ロイター通信が配信した映像では、教会の屋根や壁が大きく壊れていて人々は、がれきの中から手作業で宗教画などを運び出していました。

ワグネル代表 “ウクライナ人捕虜 少なくとも100人解放”

ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏は16日、ウクライナ人の捕虜、少なくとも100人を解放したとしています。

映像には、ウクライナの兵士とみられる人たちが列になって仲間に支えられながら歩いたり担架で運ばれたりする姿がうつされています。

ウクライナのイエルマク大統領府長官は16日、兵士など130人がウクライナに戻ったとSNSに投稿したほか、マリャル国防次官は、ロシアによる侵攻開始以降に捕虜となった人のうちこれまでにあわせて2235人が解放されたと明らかにしました。

プーチン大統領「艦隊戦力はあらゆる紛争に活用できる」

ロシアのプーチン大統領は、極東で行われている大規模な演習についてショイグ国防相から報告を受け「艦隊の戦力はあらゆる紛争に活用できる」などと述べ、ウクライナ情勢をめぐり対立を深める欧米や、日本をけん制しました。

ロシア大統領府は17日、プーチン大統領がショイグ国防相から、極東で今月14日から行われている大規模な演習について報告を受けたと発表しました。

この中でショイグ国防相は、演習には、2万5000人以上の兵士らと軍艦など167隻、戦闘機など89機が参加しているとした上で、18日からは、ミサイルの発射に関する訓練も行うと明らかにしました。

これに対してプーチン大統領は「戦力の活用には優先順位がある。まずウクライナ方面だ。そして、ドンバスやそのほかの地域の人々の保護だ」と述べウクライナなどに多くの戦力を投入し軍事侵攻を続ける姿勢を改めて強調しました。

その一方で「艦隊の戦力はあらゆる紛争に活用できる」とも述べました。

プーチン大統領としては、G7=主要7か国の外相会合で、ウクライナ支援などを継続していくことを確認し、ロシアに対してすべての軍を即時・無条件で撤退させるよう求めていくことで一致したなかでロシアの軍事力を誇示し、欧米や日本をけん制したものとみられます。

農業担当のウクライナ政府高官 訪日し復興めぐり意見交わす

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで農業や食料問題を担当している政府の高官らが日本を訪れ、農業分野の復興を巡って「日本のスマート農業やかんがい技術を取り入れたい」と述べ、日本のさらなる支援に期待を寄せました。

日本を訪れているのは、ウクライナ農業食料省の高官など6人で、17日は都内にあるJICA=国際協力機構の本部を訪れ、農業分野の復旧や復興などを巡って意見を交わしました。

このなかでJICAの窪田修上級審議役は「ウクライナへの支援のなかでも基幹産業である農業は、最重要分野の1つで、食料安全保障の観点からも重要だ」と述べました。

これに対して、ウクライナ農業食料省のドミトラセビッチ次官は、日本が進めている地雷の除去に関する支援などに謝意を示した上で「いまだ南部を中心に破壊されたかんがい施設が多い」と述べ現状の課題について説明しました。

そのうえで「ITなどを活用した日本のスマート農業やかんがい技術を取り入れて農業をよりよい形で復興させたい」と述べ、日本のさらなる支援に期待を寄せました。

一行は、18日から3日間の日程で宮城県を訪れ、東日本大震災から復興した農業の現場を視察するほか、農業関係者などと意見交換を行うことにしています。

ドミトラセビッチ次官は取材に対して「東日本大震災のあと復興を進めた経験について話を聞き、ウクライナの復興に役立てたい」と話していました。

G7外相会合 ロシアに即時・無条件撤退求めるなどで一致

G7=主要7か国の外相会合はウクライナ情勢をめぐって、ロシアに即時・無条件で軍の撤退を求めるとともに、中国や中東の国々を念頭に、ロシアが「第三国」を介して制裁を回避し、武器提供を受けることを防ぐため連携して対処することで一致しました。

長野県軽井沢町で開かれているG7外相会合は、2日目の17日、ウクライナ情勢をめぐっておよそ1時間40分、意見を交わしました。
この中で、林外務大臣は、ロシアによる侵攻が長期化する中、G7をはじめ、同志国が結束を維持するとともに、中間的な立場をとる国が多い「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との連携強化が重要だと指摘しました。

その上で、日本がこれまでに総額76億ドルのウクライナなどへの支援を表明していることを説明し、プーチン大統領が隣国ベラルーシに核兵器を配備するとしたことを非難しました。

そして、各外相は結束してロシア制裁とウクライナ支援を継続していくことを確認し、ロシアに対し、すべての軍を即時・無条件で撤退させるよう求めていくことで一致しました。

さらに、ロシアによる核の脅しは受け入れないという認識を改めて共有し、中国や中東の国々を念頭に、ロシアが「第三国」を介して制裁を回避し、武器提供を受けることを防ぐため連携して対処することで一致しました。

G7外相会合 林外相 ウクライナ侵略も“国際秩序守り抜く決意”

G7=主要7か国の外相会合は2日目を迎え、議長を務める林外務大臣は、ロシアによるウクライナ侵攻によって国際社会が歴史の転換期を迎える中、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くG7の決意を世界に示したいと強調しました。

長野県軽井沢町で開かれているG7外相会合は17日に2日目を迎え、午前中の最初のセッションでは16日夜に続き、インド太平洋地域の情勢をめぐって、およそ1時間、意見を交わしました。

冒頭、議長を務める林外務大臣は「国際社会が歴史の転換期を迎える中、われわれはロシアによるウクライナ侵略や核の威嚇など、力による一方的な現状変更を許さない。法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の強い決意を世界に示したい」と強調しました。

プーチン大統領 中国との軍事面の連携深まり強調

プーチン大統領は16日、クレムリンで、李尚福国防相と会談しました。冒頭、プーチン大統領は、「われわれは定期的に有益な情報を交換し、軍事技術の分野で協力し、極東やヨーロッパ、そして陸海空のさまざまな場で、合同演習も実施してきた」と述べ、中国と軍事面での連携が深まっていると強調しました。

ロシアの国営通信社によりますと、このなかで李国防相は「われわれの関係は、非常に強固だ。冷戦時代の軍事や政治の関係よりも上回っている」と応じたということです。

ウクライナ情勢をめぐって、ロシア軍が兵器不足に直面する中、欧米やウクライナは中国がロシアへの兵器の供与などに踏み切らないか警戒を強めています。

ウクライナ 復活祭もロシア側の攻撃で被害

ウクライナでは復活祭にあたる16日も東部や南部でロシア側の攻撃が続き、地元メディアによりますと、南部ザポリージャ州では未明のミサイル攻撃によって教会が大きな被害を受けました。また、東部ドニプロペトロウシク州でも宗教施設が攻撃を受けけが人が出たと地元の当局者がSNSで明らかにしました。

復活祭にあわせてウクライナの伝統的な服に身を包んだゼレンスキー大統領は、16日に公開した動画で、「すでに長い道のりを歩んできたが、最も難しい峠はまだ先だ。われわれがともにそれを乗り越えた時、国じゅうを太陽が照らす夜明けが来る」などと述べ、改めて国民の結束と徹底抗戦を呼びかけました。

そのうえで、「太陽は南部でも東部でも、そしてクリミアでも輝くだろう」と述べ、2014年にロシアが一方的に併合したクリミアを含むすべての領土を奪還する考えを重ねて示しました。