【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシアのプーチン大統領 復活祭の礼拝に参列

ロシアのプーチン大統領は、キリストの復活を祝う16日の復活祭に合わせて首都モスクワの中心部にあるロシア正教会の大聖堂で、側近の1人であるモスクワのソビャーニン市長や多くの市民とともに夜の礼拝に参列しました。

プーチン大統領は、火をともした赤いろうそくを手にし、ロシア正教会を率いるキリル総主教に合わせて祈りをささげていました。プーチン大統領は、ウクライナへの侵攻を続ける中、去年もこの時期に、復活祭の礼拝に参列しています。

ロシア正教会のキリル総主教は、プーチン政権の軍事侵攻についてロシア正教の信者の世界を守るためのものだとして支持する立場を鮮明にしています。

ロシア側の民間軍事会社代表「ロシアの成果を人々に」

ロシア側の民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏は14日、SNS上にウクライナの侵攻に関する長文の論文を投稿しました。

論文でプリゴジン氏は、バフムトを掌握する重要性を強調するとともに、「理想的なのは、特別軍事作戦の終了を発表し、ロシアの成果が得られたことを人々に知らせることだ」などと主張しました。そして、ウクライナ軍が大規模な反転攻勢を行えば、ロシア側のリスクになるとしていて、侵攻から1年たった2023年2月24日時点でロシア側が占領した領土を維持したうえで停戦することなどを提案しています。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は15日に発表した分析で、「プリゴジン氏はウクライナ侵略の終結を提案したわけではない。ウクライナを倒すか、または、ロシア国内の愛国主義の勢力を再生してから、将来的にロシアが勝利できるように求めたものだ」と分析しています。

ウクライナ軍「東部ドネツク州で激戦続く」

ウクライナでは、キリストの復活を祝う復活祭に当たる16日も各地で戦闘が続き、地元の当局者などによりますと、南部ミコライウ州で、ロシア軍の砲撃で10代の若者2人が死亡したほか、前日の15日には南部ザポリージャ州で、地元の教会が破壊されたとしています。

ウクライナ軍の参謀本部は16日、東部ドネツク州の拠点バフムトと、州都ドネツクの南西にあるマリインカが激戦地となっていると指摘しました。

一方、ロシア国防省は15日、バフムトについて、民間軍事会社ワグネルの部隊が街の南と北にある2か所の区域を奪ったとしたうえで、市内のウクライナ軍が退却していると主張するなど、ウクライナ側は厳しい状況が続いているとみられます。

ロシア国防省 激戦地バフムトの郊外区域奪ったと主張

ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトをめぐってロシア国防省は15日の発表で、民間軍事会社ワグネルの部隊が街の南と北にある2か所の区域を奪ったとした上で、市内に残るウクライナ軍は退却していると主張しました。

ウクライナ軍の東部方面部隊の報道官は15日、地元メディアに対して「過去数十年で例のない血みどろの戦いになっている」と述べ、ロシア側が24時間で、バフムトや周辺に150発を超す砲撃を行うなど激しい攻撃を続けていると訴えました。

そのうえで「われわれは敵の戦闘能力をそぎ落とし、体力と士気を奪うことに全力を注いでいる」と述べ、バフムトでロシアの侵攻を食い止める考えを強調しました。

キリスト教ウクライナ正教会 復活祭前日に祈り

キリスト教のウクライナ正教会では、ことしは今月16日がキリストの復活を祝う復活祭に当たります。

首都キーウでは復活祭の前日に家族で祈りをささげる姿がみられました。

ビクトリア・オレクシェンコさん(50)は、軍に所属する夫のイワンさんが復活祭にあわせて3日間だけ休暇をとって戦地から戻ってきたため15歳の長女と一緒に伝統のケーキを用意しました。

ビクトリアさんは「軍にいる長男がここにいないことは寂しいですが、待っていた夫と家族にとって大事な日を祝えて幸せです」と喜んでいました。

オレクシェンコさん夫婦は15歳の長女と5歳の次男の4人で教会を訪れました。

教会では例年、復活祭の儀式が土曜日の深夜から翌朝にかけて行われますが、軍事侵攻の影響で夜間の外出禁止令が続いていて行えないため、多くの人が復活祭前日の夕方に教会を訪れていました。

オレクシェンコさんたちも準備したケーキや生命の象徴として鮮やかに色づけした卵をかごに入れて教会を訪れ、聖水で清めてもらうとともに、ろうそくに灯をともし、祈りをささげていました。

夫のイワンさんは「兵士みながこのように祝えるわけではない中、家族と復活祭を祝えることは幸運です。われわれの祖国を守るため、今ここにいない仲間たちが無事でいることを祈ります」と話していました。