経産省が原子力規制のあり方に意見か

原子力発電所の運転期間を延長できるようにする法制度の見直しにあたって、推進側の経済産業省が原子力規制委員会が所管する法律の条文案を事前に示していたほか、「安全規制が緩んだように見えないことが大事」などと、高い独立性が求められる規制のあり方に踏み込んだともとれる意見を伝えていたことがわかりました。

政府が最長で60年とされている原発の運転期間を延長できるようにする方針を示したことを受けて、原子力規制委員会は去年10月、安全性を確認する制度の検討を事務局の原子力規制庁に指示しましたが、規制庁は指示の前から推進側の経済産業省と7回にわたって非公式に面談し、やりとりしていたことが明らかになっています。

これについてNPO法人の原子力資料情報室は14日、経済産業省への情報公開請求で入手した面談の記録を公表しました。

それによりますと、去年7月に行われた1回目の面談では、経済産業省の担当者が法改正のイメージを伝えた上で、「安全規制が緩んだように見えないことが大事」などと伝えていたことが記載されています。

また、去年8月の2回目の面談では原発の運転期間の制限について、原子力規制委員会が所管する法律から削除した上で、運転を延長するためには規制委員会の認可を受けなければならないなどとした条文の案も示していました。

今の通常国会に提出されている実際の条文案とは異なっていますが、原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「福島第一原発の事故を教訓に、規制と推進の分離が進められてきたが、再び一体化が始まっている」と指摘しました。

一方、原子力規制庁原子力規制企画課は「意見の適切さについては規制庁としてコメントしない。条文案は議論のたたき台にはなったが、規制委所管の法律改正に大きな影響は与えていない」とコメントしています。