米機密文書流出 21歳空軍州兵逮捕 “アクセス権限持っていた”

アメリカ政府の機密文書が流出した問題をめぐり、21歳の空軍州兵が捜査当局に逮捕されました。アメリカのメディアは、この州兵が機密情報を取り扱う国防総省のネットワークにアクセスする権限を持っていたと伝えています。

この問題は、ロシアによるウクライナ侵攻などをめぐるアメリカ政府の機密文書とされる画像がSNS上で拡散したものです。

アメリカのFBI=連邦捜査局は13日、アメリカ政府の国防に関わる機密情報の流出に関与したとして21歳の空軍州兵のジャック・テシェイラ容疑者を逮捕しました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは、この州兵がIT技術者で、機密情報を扱う国防総省のネットワークにアクセスする権限を持っていたと伝えています。

州兵は、機密文書の内容や画像を「ディスコード」というオンライン・サービス上につくられた招待制のチャット・グループに去年から投稿していたということです。

アメリカ国防総省のライダー報道官は13日、開かれた記者会見で機密情報の保護については厳格なガイドラインがあるとしたうえで「今回はガイドラインに違反する意図的な犯罪行為だ」と述べました。

また、オースティン国防長官は声明を発表し「国防総省内の情報へのアクセスや管理手続きなどについて見直しを行い、再発防止に向けた取り組みに反映させるよう指示している」としています。

バイデン大統領「重大な結果につながるものないとみられる」

これに先立ってアメリカのバイデン大統領は訪問先のアイルランドで13日、記者団に対し機密文書が流出したことについて「流出が起きてしまったことは懸念しているが、重大な結果につながるようなものはないとみられる」と述べ現時点では深刻な影響はないという見方を示しました。

英BBC “国連 グテーレス事務総長の私的通信傍受”

機密文書からはアメリカ政府が国連のグテーレス事務総長と部下の私的な通信を傍受していたとイギリスの公共放送BBCは伝えています。

BBCによりますと、流出した機密文書には去年7月、国連とトルコが仲介して実現したウクライナ産の農産物の輸出再開をめぐる合意についての記述が含まれています。

このなかで「機密文書ではグテーレス事務総長はこの合意を維持することに熱心で、ロシア側に利益となることを積極的に受け入れようとしていた」としているほか、「事務総長は制裁対象のロシアの組織や個人が含まれていたとしてもロシアの輸出能力を向上させるため、努力を強調している」などと伝えています。

当時のアメリカ政府が、グテーレス事務総長の対応に対して不満を持っていたことが機密文書からうかがえる報道となっています。

これについて国連のデュジャリック報道官は13日、定例の会見で記者からの質問に応え「事務総長は監視されたり、会話を聞かれているという事実には驚かないと思うが、私的な会話の内容がゆがめられ、公開されることは残念だ。事務総長はどの国にも甘くない」と述べました。