熊本地震から7年 活断層周辺では地震活動が高まった状態続く

熊本地震の発生から14日で7年です。一連の地震を引き起こした活断層の周辺では、地震活動が高まった状態が続いています。専門家は「当時の地震ですべての断層帯がずれ動いたわけではなく、今後も大きな地震が起きるおそれがある」として備えを呼びかけています。

7年前の熊本地震では、益城町で震度7の激しい揺れが2度にわたって観測され、その後も地震が頻発して被害が相次ぎました。

気象庁によりますと、地震が起きたのは熊本県を東西に走る「布田川断層帯」と「日奈久断層帯」の周辺で、地震発生から先月までの間に、震度1以上の揺れを伴う地震が合わせて4856回観測されたということです。

地震回数は減少も活動高まった状態続く

年ごとに見ると、▽地震の起きた2016年が最も多い4211回で、▽2017年は245回、▽2018年は108回、▽2019年は111回、▽2020年は65回、▽2021年は64回と次第に減少し、▽去年は38回と熊本地震の前の水準である1年当たり49.2回を初めて下回りました。

ただ、去年も6月には熊本地方を震源とするマグニチュード4.7の地震が発生して、熊本県美里町で震度5弱の揺れを観測するなど、時折、規模の大きな地震が発生していて、気象庁は地震の回数は減少する傾向がみられるものの、活動が高まった状態が続いているとしています。

依然として大地震のおそれ

また、政府の地震調査委員会によりますと、熊本地震を引き起こした「日奈久断層帯」は、北側の一部だけしかずれ動いていないため、依然として大地震のおそれがあるということです。

今後30年以内に地震が発生する確率は、日奈久断層帯のうち▽北東側の「日奈久区間」でほぼ0%から6%、▽南西側の「八代海区間」でほぼ0%から16%とされ、地震発生の切迫度はともに最も高い「Sランク」と評価されています。

また、いずれの区間も、ずれ動いた場合はマグニチュード7クラス、断層帯全体が一度にずれ動いた場合はマグニチュード7.7から8.0程度となる可能性があるとしています。

地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直 名誉教授は「『熊本地方では大きな地震が起きてしまったのでしばらく安全だろう』と思うかもしれないが、断層帯の全体が破壊されたわけではないので、決して熊本地方でしばらく地震が起きなくなるということではない。7年前に起きたような地震がまた発生しても被害が少なくなるよう備えをしてほしい」と話しています。

まちづくりや住まいの再建が課題

熊本地震では、観測史上初めて同じ地域で2度の震度7の揺れを観測し、災害関連死も含めて熊本と大分で合わせて276人が犠牲となったほか、熊本県内では19万8000棟余りの住宅に被害が出ました。

その後、民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」も含めて、最も多い時には4万7800人が仮設住宅での生活を余儀なくされましたが、災害公営住宅などへの入居が進み、先月には益城町に唯一残っていた仮設団地が閉鎖されました。

被害が大きかった益城町では区画整理事業などが進められていますが、完成まであと5年ほどかかる見通しで、熊本県と町は自宅が再建できない世帯を対象に、災害公営住宅などに無償で入居してもらうなどの支援を行っています。

一方、災害公営住宅では昨年度、少なくとも3人が孤立死していたことが自治体への取材でわかり、入居者の支援も課題となっています。