米大統領 北アイルランド訪問 一部地区で事件など 警戒高まる

1998年の和平合意から今月で25年となったイギリスの北アイルランドを、アイルランドにルーツを持つアメリカのバイデン大統領が訪れました。和平継続の重要性を訴えるものとみられますが、一部の地区では警察車両に火炎びんが投げられる事件などが連日起き、警戒が高まっています。

北アイルランドでは、イギリスからの分離を求めるカトリック系の住民と、反対するプロテスタント系の住民の間で30年以上にわたる激しい対立が続き、双方で合わせて3500人以上が犠牲になりました。

バイデン大統領の訪問は、和平合意から今月で25年となったことを記念したもので、11日、中心都市ベルファスト郊外の空港で出迎えたイギリスのスナク首相と笑顔で握手を交わしました。

12日には市内の大学で演説し、和平継続の重要性を訴えるものとみられますが、西におよそ100キロ離れたロンドンデリーのカトリック系の住民が多い地区では10日、若者たちが警察車両に火炎びんを投げつけ、11日には路上でタイヤに火をつけたり、パイプ爆弾が発見されたりしました。

警察によりますと、いずれもけが人はいませんでしたが、地元メディアなどは、背景には今も和平に反対するグループの存在があると伝えています。

先月には、国内の治安維持を担当するMI5=情報局保安部が北アイルランドのテロ警戒レベルを5段階中、上から2番目に引き上げていて、バイデン大統領の訪問に合わせて厳戒態勢が敷かれています。