【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ICBMの発射実験“成功”と発表

ロシア国防省はカスピ海に近い南部アストラハニ州の演習場で11日、戦略ミサイル軍の部隊が、ICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を行い、成功したと12日、発表しました。

ミサイルは、隣国カザフスタンにある演習場の標的に命中したとしていて、新しいミサイルの構造や技術を正確に確認する目的で実施されたとしています。

ロシアはことし2月、アメリカとの核軍縮条約「新START」の履行を停止すると一方的に表明しています。今回のICBMの発射実験は条約の履行停止後、初めてとみられます。

ロシア外務省のリャプコフ次官は12日、記者団に対し、ICBMの発射については事前にアメリカ側に通知していたと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領 改めて結束呼びかけ「戦争の重要な局面だ」

ロシアによる軍事侵攻でウクライナでは東部ドネツク州のバフムトなどで激しい戦闘が続くなか、ウクライナが近く大規模な反転攻勢に出ると伝えられています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は11日に公開したビデオ声明で「われわれは今、社会やパートナーたちにとって進むべき道を見失わないため、戦争の重要な局面にある」と述べ、改めて結束を呼びかけました。

「占領地域の孤児4396人がロシアに連れ去された」

ウクライナのベレシチュク副首相は10日、ロシアに占領された地域にいた孤児のうちこれまでに4396人がロシアに不法に連れ去られたと指摘しました。

そのうえで「国際社会の支援は非常に重要だ」として孤児たちを救出するため、EUや国連機関などとも連携して国際的な枠組みの設立を目指す考えを明らかにしました。

子どもの連れ去りをめぐってはICC=国際刑事裁判所が先月、ロシアのプーチン大統領など2人に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出しています。

ウクライナ政府としては、孤児たちについては、帰還を求める保護者などがいないため救出される機会が限られているとして、国際社会の支援を広く訴えていきたい考えとみられます。

ロシア 兵役義務招集令状 法改正でオンライン通知可能に

ロシアの議会下院は11日、兵役義務の招集令状について、書面で手渡して対象者に通知していましたが、電子化によってオンラインで通知することも可能とする改正法案を可決しました。

改正されれば、当局が招集の対象者をインターネット上のデータベースに登録することで、本人に令状が通知されることになるということです。

さらに、対象者はロシア国外への出国が禁止されるほか、招集に応じない場合、自動車の運転が認められなくなるなどさまざまな制限が定められています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン政権は、去年9月、予備役の動員に踏み切り、ロシア国内では招集令状の受け取りを拒んだり、国外に脱出したりする市民も相次ぎました。

今回の法案についてロシアの独立系メディアは「戦争に参加したくない人々をロシア国外に出られないようにするものだ」と指摘しています。
軍事侵攻が長期化する中、ロシアの国民の間では追加の動員があるのではないかという不安が根強く、大統領府のペスコフ報道官は11日「法改正は動員とは関係がない」と強調しています。

日本からウクライナへ建設用重機供与

ロシアによる軍事侵攻で破壊された建物などのがれきの処理が課題になっているウクライナに、日本から建設用の重機が供与され、11日、現地で引き渡しの式典が行われました。


首都キーウ近郊のイルピンで行われた引き渡しの式典には、ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相や在ウクライナ日本大使館の松田邦紀大使のほか、JICA=国際協力機構の担当者など両国の関係者が出席しました。
引き渡されたのは建設用の重機7台で、がれきの撤去などにあたる日本からの支援の第一弾としてウクライナ側に供与されました。

軍事侵攻当初、ロシア軍の激しい攻撃を受けたイルピンなどでは、多くの住宅やインフラ施設などが破壊され、がれきの撤去をどうスムーズに進めていくかが復旧・復興に向けた課題となっています。

日本側からは今後さらに10台の重機がイルピンに供与されるほか、今後、南部ヘルソンなどにも送られるということです。

ウクライナ政府高官「作戦情報含まれていない」米機密文書

ポドリャク顧問
ウクライナ侵攻をめぐるアメリカ政府の機密文書が流出したとされる問題についてアメリカ政府は機密性の高い資料が含まれている可能性があるとして調査を急ぐ考えを示しています。

CNNテレビは10日、ウクライナのゼレンスキー大統領に近い関係者の話としてウクライナが軍事計画の一部を変更せざるを得なかったと伝えました。

これについて大統領府のポドリャク顧問はメディアのインタビューに対し「作戦の情報は含まれていない」としているほか、国家安全保障・国防会議のダニロフ書記も「最後の瞬間に反転攻勢の決断を下す。計画を知るものはごく少数しかいない」と強調しています。

ウクライナは近く大規模な反転攻勢に乗り出す構えで、機密文書の問題が波紋を広げる中、今後の軍事作戦への影響を最小限におさえたい思惑もあるとみられます。

G7外相会合の共同声明原案が判明 ロシアの“偽情報”を非難

来週開かれるG7=主要7か国の外相会合でとりまとめを目指す共同声明の原案が明らかになりました。
ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求めるとともに、ロシアが国際的な支持を得るために偽の情報を使用していると強く非難し、信頼できる情報へのアクセスが維持されるよう取り組むとしています。

G7外相会合は来週16日から長野県軽井沢町で開かれる予定で、会合でとりまとめを目指す共同声明の原案が明らかになりました。

原案では、ウクライナへの侵攻を続けるロシアを最も強いことばで改めて非難し、すべての軍を即時かつ無条件で撤退するよう求めています。

そのうえで、ウクライナへの支援を必要なかぎり継続する一方、ロシアへの制裁の抜け穴を塞ぐため、第三国に対して武器の供給などを止めるよう要請するとしています。

さらに、ロシアが、国際的な支持を得るために、偽の情報を使用していると強く非難し、良質で信頼できる情報へのアクセスがカギになるとして、国連などの取り組みを支援するとしています。